2013春 鶴居 ワークキャンプ 報告
<期間>
3月5日(土)〜3月10日(水) 5泊6日
<受け入れ先>
(財)日本野鳥の会鶴居・タンチョウサンクチュアリ
有田茂生チーフレンジャー
*参加大学*
東京農業大学、桜美林大学、東京農工大学、明治大学、青山学院大学、東海大学
(6大学8名)
*作業内容*
・自然採食地の利用状況調査
・自然採食地の環境記録調査
・自然採食地の整備
*その他の活動*
・線路は続くよセミナー(アイスブレイク)
・自然保護セミナー
・野外セミナー
・懇親会
*活動報告*
<1日目>
午前:移動、買出し
午後:オリエンテーション
(タンチョウについて・鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの自然保護活動について・作業について)
夜:線路は続くよセミナー(アイスブレイク)
<2日目>
午前:タンチョウの冬季自然採食地の環境記録調査
午後:タンチョウの冬季自然採食地の環境記録調査
<3日目>
午前:タンチョウの冬季自然採食地環境の記録調査
午後:タンチョウの冬季自然採食地の整備(ポンポン川)
<4日目>
朝:雪裡川の音羽橋でのタンチョウ観察
午前:タンチョウの冬季自然採食地の利用状況調査
午後:タンチョウの冬季自然採食地の利用状況調査
<5日目>
午前:野外セミナー
午後:野外セミナー
夜:懇親会
<6日目>
午前:大掃除、全体振り返り
【作業の報告】
+タンチョウの冬季自然採食地の環境記録調査+
自然採食地の整備方法の確立や行政への提言の資料作成の基礎資料とするため、自然採食地として整備した環境を記録する。記録内容は整備した自然採食地内の木の位置と胸高直径を記録、水温、10mごとの水辺までの左右の傾斜角度、水面の幅、左側・中央・右側の深さ。また、自然採食地の環境、利用の痕跡(足跡・翼跡)を写真記録した。 |
+タンチョウの冬季自然採食地の利用状況調査+
タンチョウがねぐらと給餌場以外のどこで、どのくらい過ごしているかを把握するための調査。鶴見台、中雪裡1号付近の山、下雪裡付近の山の3つのグループに分かれ、鶴見台グループは時間内での鶴見台にいるタンチョウの数とリングの記録、山側のグループは畑や河川を見降ろして観察しながら時間内に訪れるタンチョウの行動や数を記録した。鶴見台グループは1人ずつ交代で、有田レンジャーと共に鶴居村を一周して農家や視界に入るタンチョウを記録し、タンチョウが普段どのような場所でどのような行動をしているか調べました。 |
+タンチョウの冬期自然採食地踏査+
今までの調査により、牧草地やタンチョウ自採食地の管理候補地である手塚農場の水路へ行き、凍結の有無、水面の広さ、樹木の密度、タンチョウの利用の痕跡(足跡)などを記録して今後の管理のための調査をしました。
+タンチョウの冬季自然採食地の環境記録調査+
今までの調査により、牧草地やタンチョウ自採食地の管理候補地である手塚農場の水路へ行き、凍結の有無、水面の広さ、樹木の密度、タンチョウの利用の痕跡(足跡)などを記録して今後の管理のための調査をしました。 |
+タンチョウ冬季自然採食地の整備+
旧雪裡川1号採食地は、夏の整備作業から時間が経ち雑木が繁茂して狭くなった場所や、さらに整備することでタンチョウの利用が期待できそうな場所があるので、水路の周辺に生えている木の枝をのこぎりを使い除去して、タンチョウがより利用しやすい自然採食地を作りました。 |
【その他の活動】
<1日目>
○鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの自然保護活動・作業についてのレクチャー
受け入れ先の鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリではどのような自然保護活動が行われているのか、これから行う作業はどのような目的があるのかなどレクチャーしていただきました。
○線路は続くよセミナー
初日の夜にみんなで、好きな生物・アルバイト・趣味などを自分の名前紹介と共に述べることで打ち解けあいました。
<5日目>
○野外セミナー
受入先のレンジャーの方々からタンチョウとそれを取り巻く環境や問題点について、実際の現場(鶴居村内と釧路湿原)に車で向かい、教えて戴きました。鶴見台での問題やタンチョウの生息地の環境について学び、釧路湿原野生生物保護センターに行きました。またエコミュージアムセンターで湿原保護の歴史・功罪について学びました。道中では様々な野鳥も見ることができました。
<5日目>
○自然保護セミナー
ワークキャンプ中の活動の意味を「調査・研究」「環境整備」「教育・普及啓発」「開発の規制」を通して理解するとともに、自然保護にはどのような活動があるのか、どのように分けられるのかという自然保護の全体像を話し合いながら確認しました。 |
<5日目>
○懇親会
最終日の夜は、村の方々との交流会を行いました。タンチョウについて考えている酪農家の方、自然を撮り続けている動画編集の方、保護センターの職員の方達と交流しました。
普段は会えない方々と話、タンチョウの保護や問題について理解を深めました。 |
■参加者の感想■
青山学院大学経済学部2年
澤本将太
今回が初めてのワークキャンプでしたが、天候にも恵まれとても充実した6日間を過ごすことができました。主な活動内容はタンチョウが生息する環境整備や利用状況調査でした。これらを通じて感じたことは、自然保護は「その地域の人と生き物」のつながりだけでなく、「その地域の人と人のつながり」も大事だということです。言い換えると、保護に携わる人が、その地域の人々とコミュニケーションをとることが重要だということです。そのためにも地域とうまくかかわってゆけるコーディネーターが必要だという有田レンジャーの話は印象的でした。
5日目の野外セミナーで釧路湿原を周り、エゾシカやオオワシといった北海道ならではの生き物も堪能できたことも思い出です。
鳥屋の自分にとっては、千葉ではお目にかかれないハシブトガラやゴジュウカラを見られたことが一番うれしかったです。
生活面については、慣れない自炊ということもあり少し自分の動きが鈍かったなと思います。また参加する機会があればもう少しスキルをあげてテキパキ動けるようにしたいです。また、今回参加したことで自然保護や生き物が好きな友達を増やすことができました。素晴らしい機会を企画してくださったFAネットワークのみなさんありがとうございました。
東京農業大学畜産学科 3年
五十嵐匠
鶴居・伊藤サンクチュアリーでの6日間はとても楽しく、勉強となるものでした。私は今まで自然保護活動に取り組んだことがなく今回が初で、参加してよかったと思います。北海道の自然を感じることもできたし、自然保護活動は何を行っているかを体験でき生の情報を得ることができました。
今回一番心に残っているのは保護活動の現状について聞いたことです。話を聞くまでは保護活動とはただ動物を保護し絶滅から守るだけだと思っていました。しかし、今回の体験と話を聞いてそれだけでは足りないのだと知りました。保護対象が生息する場所はその生物だけのものではありません。別の動植物もいるし人が住んでいる場合があります。もう数が減ってしまった生物を保護し数を増やすことはその生物が少ない環境というのを作り替えていくことになります。特に人が住んでいる場合は農作物などへの被害は免れなくなります。鶴居村では農家の方々と短調の距離が近く、農作物に影響があり人によっては不快に感じているようでした。保護活動をすることとは保護対象の数を増やすだけでなく、その地域との関係を取り持っていくことでもありました。
今回参加したことは私にとってかなりプラスになりました。また、鶴居村だけでなく他の保護地ではどんなことが起きているのか興味をもちました。ありがとうございました。 |
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