2011春ワークキャンプ報告
2011春 根室ワークキャンプ 報告



【期間】
 3月8日(火)〜3月13日(日) 5泊6日

【受け入れ先】
 ○日本野鳥の会 野鳥保護区事業所
  ・松本 潤慶さん
  ・小畑 拓也さん
 ○春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター
  ・大熊 千晶さん
  ・手嶋 洋子さん

【参加大学】
 日本獣医生命科学大学、東京農業大学、東京農工大学、環境学園専門学校(4大学1専門学校8名)

【作業内容】
 ・除間伐作業
 ・森林踏査

【その他活動】
 ・根室の自然、日本野鳥の会についてのレクチャー
 ・自己紹介セミナー
 ・山本純朗さんによるシマフクロウセミナー
 ・野外セミナー
 ・懇親会

【活動報告】
<1日目>
午前:移動、集合
午後:買い出し
 夜:根室の自然、日本野鳥の会についてのレクチャー
   自己紹介セミナー

<2日目>
午前:ミズナラ林の除間伐作業
午後:ミズナラ林の除間伐作業(つづき)

<3日目>
午前:森林踏査
午後:森林踏査(つづき)
 夜:シマフクロウセミナー

<4日目>
午前:野外セミナー
午後:野外セミナー

<5日目>
午前:根室市内で待機
午後:鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリへ
 夜:懇親会

<6日目>
午前:全体振り返り


【作業の報告】
●ミズナラ林の除間伐作業
渡邊野鳥保護区ソウサンベツの林は、40〜50年前に薪などに利用するために伐採されたミズナラなどの広葉樹林が萌芽更新をして細い木が密集し、シマフクロウが利用できるような土地ではなくなっています。(密集している森では、体長の大きなシマフクロウは飛ぶことができない)
そこで、2009年春ワークキャンプから、1つの根から複数伸びた幹のうち細いものを選び、約半数に間引く作業を行っています。今回のワークキャンプでは、昨年に引き続きできる限りこの作業を行いました。
これにより林内に光が入ったり場所も空くので、ミズナラ以外の樹や下草が生えられて豊かな生態系を作れます。するとネズミや小鳥も利用するようになり、それを追ってエゾフクロウなどが来ることも期待されます。
また、間伐材の一部は鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリのストーブの薪として利用されます。

ただし、二日間の日程で組んでいた作業でしたが、二日目は地震の影響により中止となりました。指定された範囲の外側から作業していったため、外側は明らかにシマフクロウが飛べる空間を空けることができましたが、森の真ん中は比較的鬱蒼とした状態のままとなってしまいました。

大きなシマフクロウが飛ぶためには、樹間が狭いです。

手ノコギリで切り倒して…

抱えられるくらいの大きさに裁断します。これを林縁部に運び出すのです。
●森林踏査
新たに設立された保護区2箇所において、シマフクロウの棲息しやすい森を作るために今後の管理について検討・準備をするため、GPS、森林計画図、地形図などを使って保護区の外周を徒歩で踏査しました。
具体的には保護区を2班に分かれて外周に沿うように歩きながら、森林内の樹種を調べ森林計画図と比較したその様子、踏査中に発見した広葉樹の巨木、森林の状況として河川の痕跡など、それぞれをGPSでマーキングし写真および地図上に記録しました。
また同時に森林内の生き物や生き物の痕跡も観察しました。
今回の調査で実際の保護区と森林計画図の記録とでは、異なる部分があることが判明したので、今回の調査記録に基づき今後林内整備を行っていくようです。

目印となりそうな物があったら、GPSに落としていきます。

年輪を数えて、その木がいつ植えられたものかを調べたりもしました。

森林計画図と実際の様子に相違ないか確認しています。
【その他の活動報告】
・根室の自然、日本野鳥の会についてのレクチャー
→根室とはどのような場所なのか、どういう自然があるのか、受け入れ先の野鳥保護区事業所ではどのような活動が行われているのか等を松本レンジャーから説明していただきました。

・山本純朗さんによるシマフクロウセミナー
→シマフクロウの暮らす森の様子や生態、保護の問題について、たくさんの写真を見せていただきながら学びました。参加者からも質問がたくさん出て、シマフクロウについて深く知ることができました。

・野外セミナー
→根室の自然や開発問題など、作業以外の現場はどのような状態なのかを松本レンジャーに案内してもらいながら知ることができました。

風車の大きさと羽の回る速さは、近くに行って初めて感じられます。

自然保護区について、実際に現地へ赴いて教えていただきました。

納沙布岬です。アザラシや海鳥を観察できました。
・懇親会

(財)日本野鳥の会の釧路支部の方々、レンジャーの方々と交流しました。学校や普段の生活の話から、進路の相談、自然保護とは何かなど、たくさん語り合うことができました。
【小ネタ】

・全員で早起きして、朝のバードウォッチングを楽しみました。今年は流氷も見ることができました。

・2010夏ワークキャンプで作った苗畑に、根室の幼稚園の生徒がどんぐりを植えた後の様子を見せていただきました。ワークキャンプで行った活動が活かされているのだと、目で見ることができて良かったです。
今回、4日目で東日本大震災が発生しました。
地震発生からの動きを以下にご報告いたします。

3月11日

14:46
地震発生。野外セミナーで納沙布岬に立ち寄っているところでした。
地震を私たちは感じなかったのですが、発生直後に事業所にいたレンジャーから、野外セミナーで案内していただいていた松本レンジャーに、すぐに海から離れるべきだという電話があったので、急ぎ車に乗って海から退避し、根室市役所へ向かいました。

16:00頃
市役所にて、学生全員が家族と連絡が取れました。

19:00頃
事業所がある東梅地区は通行止めになっていたため、帰ることができませんでした。
そこで、学生は「民宿たかの」へ宿泊させていただきました。


3月12日

8:00
当日の作業の中止を決定しました。

8:45
今後どう動くか参加者と参加者のご両親の意向を学生チーフと松本レンジャーが確認し、早めに帰宅するなどの変更はしないと判断しました。
交通規制の解除(緩和)を待つため、「明治公園」「根室郷土資料館」を巡りました。

13:00頃
事業所は津波の危険が大きいので、荷物をすべて持って内陸にある鶴居伊藤サンクチュアリの宿泊施設に泊まることに決定しました。
松本レンジャーの運転で、休憩を挟みながら鶴居へ向かいました。

17:30
鶴居着。有田レンジャー、伊藤レンジャーが宿泊の準備を整えてくれていました。

19:00〜
(財)日本野鳥の会の釧路支部の方々、レンジャーの方々と、夕食の御相伴にあずかりました。
図らずも、これが懇親会となりました。


3月13日

7:00
有田レンジャーらとともに、タンチョウのねぐら(セッツリ橋)や以前のワークキャンプで整備した川などを巡りました。

10:00
ワークキャンプ振り返りを行いました。これをもって、2011春根室ワークキャンプは終了となりました。

13:00頃
釧路空港へ全員で向かいました。
チーフコーディネーター、コーディネーター、参加者の二人は羽田空港経由で帰宅しました。

21:00頃
参加者二人の帰宅を電話で確認しました。
他の参加者についても問題は起きていないことを確認しました。


3月14日〜16日

北海道に残っていた参加者と毎日安否確認を行い、その後全員が無事に帰ったことを確認しました。

突然の大震災にも関わらず、参加者の安全を考えながらも少しでも不自由な思いをさせないように取り計らってくださったレンジャーのみなさん、貴重なお話をしてくださった釧路支部のみなさん、そして二転三転する不安な状況ながらも最後まで明るく積極的に動いてワークキャンプの運営を助けてくれた参加者のみなさん。
本当にありがとうございました!!


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