2010夏ウトナイ湖 ワークキャンプ 報告
《期間》
8月25日(水)〜8月31日(火) 6泊7日(初日は船中泊)
《受け入れ先》
(財)日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンター
原田修(はらだおさむ)チーフレンジャー
中村聡(なかむらさとし)レンジャー
篠原詩織(しのはらしおり)アシスタントレンジャー
安田千夏(やすだちか)インターンレンジャー
《参加大学》
日本獣医生命科学大学、帝京科学大学、東京農業大学、駒澤大学、北里大学
《作業内容》
・オオアワダチソウの抜き取り調査
・オオアワダチソウのモニタリング調査
・ネイチャーセンター内の標本作り
・伐採木の萌芽除去
・ガレージ整理
《活動報告》
0日目
午後:フェリーにて移動、自己紹介セミナー
1日目
午前:オオアワダチソウを知るセミナー
午後:現地到着、買い出し、オリエンテーション
夜:受け入れ先の方によるセミナー
2日目
午前:ガレージ整理
午後:散策路の探索
夜:ウトナイ湖セミナー
3日目
午前:オオアワダチソウの抜き取りイベント
午後:オオアワダチソウのモニタリング調査
夜:懇親会
4日目
午前:野外セミナー
午後:野外セミナー
夜:振り返りセミナー
5日目
午前:伐採木の萌芽除去
午後:ネイチャーセンター内の標本作り
夜:自然保護セミナー
6日目
午前:大掃除、振り返り
終了
《作業報告》
■オオアワダチソウの抜き取り調査
一般市民を対象とした、オオアワダチソウの抜き取りイベントの参加者兼スタッフとして作業しました。
オオアワダチソウとはとても繁殖力の強い外来種なのですが、抜き取りを数年行うことで繁殖を抑制することができるらしいことが分かりました。
そこで、その効果のほどを実証するために、今回は抜き取りのお手伝いをしました。
まず、オオアワダチソウとはどういう植物で何が問題なのかということや、昨年度までの生息数の推移の結果などを原田さんに説明してもらいました。
その後、全員で抜き取り場所へ向かい、50本を一単位として数えながらひたすら抜きました!
そして最終的に、20人で計1時間半ほどで6050本という数のオオアワダチソウを抜き取りました!!
抜き取り区画内は、きれいにオオアワダチソウだけが無くなりました。
■植物のモニタリング調査
計10カ所の、1m×1mに区画した土地の植物の被度を記していく植生調査です。
オオアワダチソウを始め、ヨモギやホザキシモツケなど様々な植物が生えていました。
それぞれについて、時にはレンジャーの方に教えてもらいながら調べていきました。
■ネイチャーセンター内の標本作り
ウトナイ湖周辺で採集された虫や鳥の巣や葉っぱをネイチャーセンターで展示できるように標本にしました。
虫の展示は実体顕微鏡で観察できるよう透明なケースを作り、そのケースの中に虫を固定。
鳥の巣の展示は鳥の絵と紹介文をつけました。
そして葉っぱの展示は葉に穴を空け顔を書いてお面にしました!
少しでも訪問者が興味を持ってくれればなぁと思います。
■伐採木の萌芽除去
元々は草原だったところが乾燥化によって木が侵入していたので、昨冬に伐採したのですが、伐採跡の切り株から新しい芽(=萌芽)が出てきて1m程まで伸びてしまっていました。
そこで、ハサミを使って伸びてしまった萌芽を取り除きます。
今の時期ならまだ茎も柔らかく、切るのは比較的簡単でしたが、半年も経っていないにしては大量の萌芽に苦戦しました。
■ガレージ整理
ネイチャーセンターのすぐ裏に設置してある、とても古いガレージ。
その中にはカヌーや車のタイヤ、プラスチックの樽などこれまで使われていた様々な物が置いてあります。
この沢山の物の中から新しく作られるガレージに移す物と廃棄するものを整理していきました。
《その他の活動》
■セミナー
「自己紹介セミナー」
ワークキャンプが始まった晩に行ったセミナーです。
まだ打ち解けていなかった参加者同士ですが、自分の興味のあることや将来の夢などをインタビュー形式で話すことで、とても楽しく語り合うことができました。
「オオアワダチソウを知るセミナー」
今回の作業ではオオアワダチソウをメインにおいたものがあったので、事前に勉強しておきました。
そもそもオオアワダチソウとはどんな植物なのか、何が問題なのかなどを知ることができました。
「受け入れ先の方によるセミナー」
ウトナイ湖における意義やラムサール条約について説明を受けて、これから滞在することになるウトナイ湖周辺について知るきっかけとなりました。
「ウトナイ湖セミナー」
前日の原田さんによる説明を踏まえたうえで、「千歳川放水路計画」「ラムサール条約」「サンクチュアリ」をキーワードに、本や資料を参考に自分たちでまとめなおしました。
これにより、さらに理解が深まりました。
「野外セミナー」
ウトナイ湖に流れ込む美々川の源流に始まり、川沿いの自然や開発の現場を見ながら、ウトナイ湖からそそぐ勇払川の河口まで下って行きました。
美々川の源流や広大なヨシ原など残された自然のすぐ隣で、人間のより良い生活のために土地が開発して使われているなど、どちらも重要でどちらも捨てたくないのに共存するのは難しいなと考えさせられるセミナーでした。
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《参加者の感想》
東京農業大学 農学部3年 小沼菜穂子
ワークキャンプを知ったのは友人を通じて。高校のときにフィールドワークという修学旅行で四万十川に行き現地の問題などを知り、色々な人の話を聞くことができたとても貴重な体験と今回のワークキャンプと似ているなと思い参加しました。
実際にウトナイ湖に行くと、自然と開発が一緒の空間にあって、思った以上に問題が複雑でとても難しいものだった。レンジャーや現地の人々など色んな人と交流することで、考えさせられるものが多く、より深く色んな問題に対して学ぶことが出来ました。
このような問題に対して、各個人の意識が重要になっていくのではないかと思います。今回のウトナイ湖のワークキャンプは自分にとって初めての事ばかりで、貴重な体験も多く、本当に参加してよかったです。
駒澤大学 経済学部2年 望月耀
今回ワークキャンプに参加しようと思ったのは、夏休みの間に何かしてみようという単純な理由でした。そしてもともと興味があった環境保護に関する、国内で学生が中心となってやっている活動をしらべていたら(本ワークキャンプを)発見しました。興味があった割にはこういった活動に参加するのは初めてで、かなり緊張していました。
初の北海道ではいろいろな体験をしました。オオアワダチソウの除去や野外セミナーは特に印象に残っています。身近に体験すればするほど北海道の、ウトナイ湖の自然は素晴らしいものだと感じました。でも多くの問題も抱えていて、どれも解決するのが難しいものばかりでした。自分にできることは少ないかもしれませんが、このことを多くの人に知ってもらいたい、関心を持ってもらいたいと思いました。少しでも多くの問題が解決してウトナイ湖の自然がずっと残ってほしいです。
最後になりましたが、今回のワークキャンプでは本当に多くの人にお世話になりました。一緒に行った仲間やレンジャーの方たち、みんなに感謝したいです。 |
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