2009夏キナシベツ ワークキャンプ 報告
■概要■
期間:2009年8月20日(木)〜30日(日) 10泊11日
場所:北海道釧路市音別町 キナシベツ自然保護地区
受け入れ先:「キナシベツ湿原を愛する会」榊原 源士さん、森田 健吾さん
参加大学:東京農業大学、帝京科学大学、埼玉大学、慶応義塾大学、中央大学(5大学7名)
作業内容:
木道の点検
看板の設置と修復
木道の防腐剤塗り
木柵の防腐剤塗り
湿原の水管理の土嚢つみ
遡上調査
海岸線のバラ線はり
キナシベツ海岸のゴミ拾い
外来種の除去作業
そのほかの活動:
キナシベツの自然保護セミナー
合意形成セミナー
自然保護セミナー
生物多様性セミナー
野外セミナー
野外セミナー振り返り
懇親会 |
■11日間の活動内容■
<1日目>
午前:移動、集合、買出し
午後:オリエンテーション
夜:フリータイム
<2日目>
午前:木道の点検、看板の支柱づくり
午後:看板の設置 古い看板の再設置
夜:キナシベツの自然保護セミナー
<3日目>
午前:木道の防腐剤塗り
午後:木道の防腐剤塗り
夜:合意形成セミナー
<4日目>
午前:木道の防腐剤塗り 見晴らしの丘まで散策
午後:木柵の防腐剤塗り
夜:自然保護セミナー
<5日目>
午前:湿原の水管理の土嚢つみ
午後:雨のため作業中止 休息時間
夜:フリータイム
<6日目>
午前:野外セミナー
午後:野外セミナー
夜:野外セミナー振り返り
<7日目>
午前:1時間遅作業開始 遡上調査
午後:遡上調査 買出し 懇親会準備
夜:懇親会
<8日目>
午前:海岸線のバラ線はり
午後:キナシベツ海岸のゴミ拾い
夜:フリータイム
<9日目>
午前:移動(釧路へ)外来種の除去作業
午後:釧路湿原見学(塘路湖エコミュージアムセンター、細岡展望台)
夜:フリータイム
<10日目>
午前:フィールドトリップ
午後:フィールドトリップ
夜:フリータイム
<11日目>
午前:全体振り返り 大掃除
午後:道具類片付け(残った人で)
夜:残り物食品片付け(残った人で)フリータイム
■作業の成果■
・木道の点検
木道を最後まで往復しました。特に大きな破損はなく、防腐剤塗りの下見となりました。
少し坂になっている部分が滑りやすいため、滑り止めの木材を打ち付けました。
・看板の設置と修復
丸太を二本切り出し、接続用の穴を2箇所ずつ堀り、2009春ワークキャンプで作成した看板の両側に繋ぎました。
その後トラクターで直別駅まで運び、自転車小屋の壁を支えにして、金具で設置しました。
また、落ちてしまっていた尺別海岸と二次林入口の看板を再設置しました。 |
・木道の防腐剤塗り
去年完成した木道に刷毛で防腐剤を塗っていきました。
全体の半分くらいが限度と見込んでいましたが、予想以上に進みが速く、1日半で全てを塗り終えてしまいました。 |
・木柵の防腐剤塗り
2日目の木道の防腐剤塗りが半日で終わってしまったので、追加した作業です。
6月にイギリスのボランティア;BTCVがつくった木柵に防腐処理を行ないました。
木柵は北海道開拓時代のの産業遺産の復元を目的に作られたものです。
6月作成分全てを塗り終えました。
・湿原の水管理の土嚢つみ
土嚢約100個をつくり、小川の中に埋めるように3段ほど積み上げました。
これによって排水されすぎていた川に、溜池状の環境ができあがり、水生生物の生活場所にすることができました。 |
・遡上調査
チョクベツ川を河口付近から50m~100mおきに魚類を捕獲し、種類と数、大きさを記録していきました。
今回の調査では50cm以上のアメマスが3尾、ウグイ多数、エビ等が確認されました。
去年記録したドジョウ等は見つからず、例年よりは種数が少ないようです。 |
・海岸線のバラ線はり
キナシベツ海岸のバラ線の壊された所・老朽化した所を数箇所張り替えをおこないました。 |
・キナシベツ海岸のゴミ拾い
キナシベツ海岸の浜と道路沿いのゴミ拾いを1時間半ほど行ないました。
集まったのはペットボトル、昼食のゴミ、スチロール片、ビン、網、釣り糸、冷蔵庫といったものでした。
ゴミ袋に10袋近く、木材の束4つ、+冷蔵庫くらいの量でした。
去年までと比べるとずっと少なくなっていたとのことです。 |
・外来種の除去作業
釧路にある環境省のワイルドライフセンターの主催で、外来種;オオハンゴウソウの除去作業が行われることになり、キナシベツを離れて協力に行きました。
環境省の方、パークボランティアの方と総勢20名ほどで釧路湿原の一角に侵入し始めたオオハンゴンソウの群落を刈り取っていきました。
今回の作業は撲滅ではなく、種子による拡散を防ぐための作業でした。
午前中で大きな群落をほぼ刈り終えることができました。
キナシベツWCで行政と連携して作業したのは今回が初めてだそうです。 |
■参加者の感想■
埼玉大学3年 永田詩花
正直、始めはなんとなく環境問題に興味があっただけで、ボランティアもなんとなくやってみようかな、と漠然と決めただけでした。けれど、キナシベツの土地や地域の方々と接し、活動したことで私の意識はガラッと変わったように思います。良い意味でボランティアについて認識を持つことができたし、何より今回の経験は大げさでなく私の人生において大変貴重なものになりました。
また、活動に参加したいと思います。
慶応義塾大学2年 武井優
今年の夏は北海道へ。このことを決めたのは、期末テスト終了の翌日の事でした。
何かに挑戦したいと思っていた夏休み。ネット検索にかかったのがこのキナシベツワークキャンプでした。そんなふうに呆気なく決まったわけですが、キナシベツへ到着すると、自分の予想は鮮やかに覆されました。そこで感動させた三つのものを紹介したいと思います。
まず一つ目。それはなんといってもキナシベツの大自然。これを抜きにキナシベツは語れません。中でも自分がこれ以上ない感動を覚えたのは、目前に広がる壮大な景色でした。特にヘシヘハケ岬からの景色は格別。目下に広がる広大な海は今もしっかりと脳裏に焼き付いています。一見の価値ありです。
次に二つ目。それはキナシベツの方たちの人の良さ。彼らの心の広さは大人の余裕なのでしょうか。しかしそうかと思えば、子どもの様にはしゃいでしまうキナシベツの人たち。とっても魅力的でした。
最後に三つ目。それはこれ以上ない最高の仲間と出会えた事です。最高の仲間なくして、楽しい生活を送ることはできなかったでしょう。みんなには本当に感謝しています。
キナシベツの思い出は自分の人生の大きな財産となりました。そして、キナシベツをきっかけに最高の仲間に出会えた事に感謝したいと思います。皆さん、本当にありがとうございました。
■ワークキャンプを終えて■
東京農業大学4年 大久保香苗 チーフコーディネーター
大学生活最後の夏休み。ワークキャンプ自体はこれで5回目でした。
5回目にして始めてのキナシベツは、他の受け入れ先と違い、法による保護の網もなければ、定期的な管理活動も十分行なわれていない場所でした。
都会っ子の私からすれば、こんな自然残さないわけにはいかない!の一言ですが、その重要性が認められていない現状。地域の人にとってはありふれて感じるだろう自然。当たり前にあるものの価値を知らせることの難しさを感じました。
ヘシヘハケ岬から臨むキナシベツ湿原や遠く原生林までは、とても雄大で手に負えないような広がりを見せてくれました。そんな広さも地図上では本当に小さい場所。多くの人に見てもらい価値を認めてもらう必要がある一方で、大勢来ても逆に破壊されてしまう・・・。公開と保護のバランスを考えさせられました。
今回11日間の活動の中で受け入れ先の榊原さんや森田さんにはキナシベツの魅力と問題を教えていただきました。貴重な体験のできた数少ないひととして、ワークキャンプで出会った仲間とこれからもキナシベツの大切さを伝えていきたいと思います。 |
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