2009春 鶴居WC報告
<開催地>
北海道阿寒郡鶴居村字中雪裡南
 (財)日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ

<参加者> 7名
玉川大学,東京農業大学,東邦大学,富山大学,北海道大学

チーフコーディネーター:高橋 睦(玉川大学文学部)

<開催期間>
2009年3月1日〜6日 5泊6日
【スケジュール】
■初日
午前 羽田空港集合
 買出し
午後 オリエンテーション1(生活面)
夜 オリエンテーション2(作業面)
    「話す」セミナー

■2日目
午前 採餌量調査、薪割り、巣箱作り
午後  採餌量調査、薪割り、巣箱作り
夜   タンチョウティーチャーズガイド実践

■3日目
午前 早瀬野鳥保護区温根内方形区探し&設置
午後  早瀬野鳥保護区温根内方形区探し&設置
夜   懇親会

■4日目
午前 野外セミナー
午後  野外セミナー

■5日目
午前  ねぐら調査
    タンチョウの自然採食地調査
午後  タンチョウの自然採食地調査
夜   「自然保護」セミナー

■6日目
午前 宿泊場所の掃除、ワークキャンプ振り返り
昼 解散
【作業報告】
T 給餌場における採餌量調査
【作業目的】
越冬期のタンチョウが必要とする給餌量を把握し、今後の自然採食の促進および人工給餌への依存緩和に役立てるため。
【作業方法】
サンクチュアリ給餌場内に方形区を設置し、採餌後のコーン粒数をカウントするため対象調査区域(1m×1mを30箇所)を写真に撮る。(採餌後=夕方、タンチョウがねぐらに帰った後)
その他にもサンクチュアリ給餌場内に飛来しているタンチョウの総数を30分毎にカウントし、その後幼鳥の数やそれ以外の鳥を記録。
【作業成果】
30分毎のカウント及び30箇所の撮影は無事終了できた。この日のタンチョウの数は、138羽であった。しかし、実際のコーン粒のカウントは行うことができず、後日サンクチュアリが行なうこととなった。
U 薪ストーブ用の薪割り
【作業目的】
野鳥の会の野鳥保護区では、シマフクロウの住める森作りのための環境管理活動の一環として広葉樹の間伐を実施している。間伐した広葉樹をネイチャーセンター内の薪ストーブの燃料として利用する。

【作業方法】
@荷台から細かい木を運び、入り口脇にキレイに並べる。
A大きい間伐材をノコギリで裁断
Bさらに裁断した木材に手斧を食い込ませる 
C食い込ませた手斧をハンマーで叩いて割る

【作業成果】
予め根室から運ばれてきた間伐材を全て入り口脇に並べることができた。
結果約250本の薪を作ることができた。
V 早瀬野鳥保護区温根内における調査区の確認
【作業目的】
以前タンチョウの営巣が確認されたため設置された早瀬野鳥保護区温根内ではハンノキの増加により営巣しなくなってしまった。そこで、間伐を行なうと同時に環境調査のための方形区を設置した。2008年度夏のワークキャンプでは、老朽化によって分からなくなってしまった方形区の再設置を実施したが、2000年に設置の方形区に関しては区画が判然とせず再設置ができなかった。
現在、保護区内は積雪によって見通しが良くなっていると考えられるため、2000年の調査区の確認を行った、

【作業方法】
早瀬野鳥保護区温根内で過去の記録を頼りに2000年調査区を探す。
見つからなかった場合は、方形区の設置

【作業成果】
以前設置された方形区は見つけることができなかったので、改めて1箇所(20メートル×30メートル)を設置しなおすことができた。
W タンチョウねぐら調査
【作業目的】
タンチョウのねぐらとなる河川環境は水の流れや上流からの土砂流入によって絶えずその環境を変化させている。鶴居村で越冬するタンチョウのねぐら利用状況を把握し、データとして蓄積することで、今後のねぐら環境の保全に役立てる。

【作業方法】
早朝、各ねぐらの観察ポイントからスコープを使い、ねぐら内のタンチョウの数をカウントする。また、ねぐらとなる河川のどの場所を利用しているのかを記録する。

【作業成果】
この日の調査でのタンチョウの総数は、約240羽であった。
X タンチョウの村内自然採食地の調査
【作業目的】
越冬期にタンチョウが利用している自然採食地を把握し、今後の保全に役立てる


【作業方法】
タンチョウの自然採食地であると思われる村内の各ポイントに分かれて、タンチョウの移動を無線でやり取りしながら、タンチョウの行動を記録する。

【作業成果】
今回、新たに、多数の自然採食地が見つかりました。
40羽近いタンチョウの自然採食地になっているところもありました。
その他にも、明渠(めいきょ)に入るタンチョウを確認できたりなど、今後調査していく上で役に立つことができる調査となりました。
【その他】
1日目
●「話す」セミナー
→「話す」上で必要なことや気をつけていることを参加者同士で共有しあい、それを期間中に意識しながら行なうことでより良い体験をしてもらおうということで行ないました。


2日目
●「タンチョウティーチャーズガイド」
→環境教育プログラムとして受け入れ先が行なっている「タンチョウティーチャーズガイド」の一つ「湿原で何がおこった」を実施しました。このプログラムの体験を通して、受け入れ先の活動の一つを理解するとともに、次の日の湿原での作業目的の理解の手助けのために行ないました。


3日目
●懇親会
→宿泊所にて、レンジャー、プロカメラマン、地元NPOスタッフ、農家などの方々にお越しいただき様々なことをお話して頂きました。


4日目
●野外セミナー
→1日かけて鶴居周辺や釧路湿原などの様々な場所を見てまわりました。
移動中には、タンチョウはもちろんウソやベニヒワなどの鳥や鹿・キタキツネも見ることができました。
5日目
●「自然保護」セミナー
→「自然保護とは何か」を知り、それを通して鶴居の現状や今回の作業の意味の再確認のために行ないました。受け入れ先の方々も加わって頂き最前線で働く人の思いや考え方・を知ってもらうことができました。
【参加者の感想】
「ワークキャンプの感想」 渡邉 掌(東邦大学理学部生命圏環境科学科1年)

このワークキャンを通じて学んだことは大きく分けて二つあります。
ひとつはタンチョウの保護活動を実際に体験して、将来こういった道もあるんだと選択の幅が広がりました。
保護団体の人(レンジャー)の熱意も活動を通して伝わってきました。仕事として保護活動をしているのだけどすごくいきいきして作業をしていると思いました。
ふたつ目はいろんな人と積極的に関わることです。
今回参加して他の大学の人の話や地元の人の話、レンジャーの人の話がたくさん聞けました。話を聞いて知識を得られたのは良かったです。
でもそれ以上に僕はいろいろな人とコミュニケーションを取ることがどんなに大事か知ることができました。当たり前のことですが自分には欠けていると思うことができました。
それがわかっただけでもワークキャンプに参加してほんとによかったです。ただなんとなく大学生活をおくっていたのでは気づけなかったと思います。
この経験を通じて自分を成長させるには、ワークキャンプを終えたあとどうするかが大事だと思いました。
キャンプに行ったら行きっぱなしでなくて、キャンプ後の報告会に参加し、こうして感想文を書くなど振り返ることが大切だとわかりました。
【ワークキャンプで感じたこと】
「ワークキャンプに参加してみて」 富山大学理学部2年 角屋絵理

以前から憧れていた北海道でタンチョウをはじめ、様々な野鳥や野生動物の姿に感激し、道東の自然を満喫した、充実した6日間でした。
調査だけでなく、タンチョウの生態や歴史など今まで知らなかったことをレンジャーの方から教えて頂き、毎日が新鮮でした。ワークキャンプを行っていく中で、人と自然との共存の難しさというものを知りました。
テレビや写真などでは優雅に飛んだり舞っているタンチョウも、実は農家との軋轢や越冬地の集中化など、様々な問題を抱えているなどということは、ただ単に観光で北海道を訪れただけでは知り得なかった、あるいはあまり印象に残らなったかもしれません。そう考えると、ワークキャンプに参加したことは、私にとってとても意義のあるものでした。また、私は幼いころから自然が好きで、将来は自然に関係する仕事に就きたいとずっと考えていました。
今回ワークキャンプで調査とはどんなものか、自然保護の大変さを学び、レンジャーの方から色々な話を聞くこともできました。
ワークキャンプで学んだこと、聞いたことを今後に活かし、自分の将来を見据えていきたいと思いました。
 最後に、6日間を一緒に過ごした、頼もしいメンバーに感謝です!!

ワークキャンプへ

FAN TOPへ

Copyright (C) Field Assistant Network,All rights reserved.