2009春 キナシベツワークキャンプ
■開催地
(社)日本ナショナルトラスト協会 キナシベツ自然保護地区(北海道釧路市音別町直別)

■開催期間
2009年2月10日〜2月19日(9泊10日)

■受け入れ先
キナシベツ湿原を愛する会代表 榊原源士さん
キナシベツ菜園 森田健吾さん

■参加大学
東京農業大学、法政大学、東邦大学、日本大学、帝京科学大学
【スケジュール】
■スケジュール
●初日 2月10日
午前 羽田空港集合(7:00 7番時計)
昼食 和商市場、買出し(アベニュー946)
午後 開会式
夜  オリエンテーション(生活、作業について)

●2日目 2月11日
午前 アオサギコロニー調査
午後 アオサギコロニー調査まとめ
夜  アオサギセミナー(北海道アオサギ研究会 松長さん)

●3日目 2月12日
午前 現地視察(駅前広場)
看板&ベンチ作製(図案作成)
午後 看板&ベンチ作業開始
夜  キナシベツ自然保護史(榊原さん)
   榊原さん59歳誕生パーティ☆

●4日目 2月13日
午前 看板&ベンチ作製
午後 看板&ベンチ作製
夜  オオワシ・オジロワシセミナー(深澤)

●5日目 2月14日
午前 看板&ベンチ作製
午後 看板&ベンチ作製
夜  ナイトハイク(源関)

●6日目 2月15日
午前 野外セミナー
午後 野外セミナー
夜  野外セミナー振返り

●7日目 2月16日
午前 ワカサギ釣り
午後 コッタロ湿原
   鶴見台
夜  懇親会

●8日目 2月17日
午前 自然誌調査
午後 自然誌調査&まとめ
夜  会話セミナー(源関)

●9日目 2月18日
午前 看板&ベンチ作製
午後 看板&ベンチ作製
夜  自然保護のイメージ(深澤)

●10日 2月19日
午前 閉会式、全体振返り、掃除
昼  解散
【作業報告】
A.駅前広場に設置する、看板&ベンチ作製

駅前にはキナシベツ湿原とほぼ同じ生物や植物が見られる湿原があり、その奥にはキナシベツ自然保護地区が一望できる場所があります。この場所に木道を作り自然散策が出来るように整備を進めることで「キナシベツ湿原の認知度アップ」につなげるため行いました。
 そこで、ここが「キナシベツ湿原」であることを認知してもらうため、国道を通る車に乗っている人を対象に、駅前に看板を作成し設置しました。また、駅を訪れた人に対して(木道を利用した人が)ゆっくりくつろげるようにベンチを作成しました。
 
 
 
B.アオサギコロニー調査

キナシベツの自然環境の動向を図る指標として行われている継続調査で、今年で11年目になります。カラマツ林の中にアオサギの巣があり、営巣木については樹木の直径、健全度、巣の大きさを測りナンバリングします。
 
C.自然誌調査

キナシベツ自然保護地区内の状態を把握し、これまで知られていない原生林の中の様子を明らかにすることでキナシベツの自然を知るために行っている調査です。原生林にスキーを履いて入り、目印となる大木や、地図とは違う地形を新たに書き直す作業をしました。
 
【セミナー内容】
2日目
●アオサギセミナー(松長さん)
北海道アオサギ研究会の松長さんに調査に引き続き、セミナーを行ってもらいました。今回はアオサギの生態や現状について事例を用いてお話していただきました。調査ではわからなかったアオサギの生態や名前の由来など初めて知ることもたくさんあり、参加者からの質問もたくさん出ました。

3日目
●キナシベツ自然保護史(榊原さん)
受け入れ先の榊原さんに、小さいころのキナシベツ一帯の様子から、酪農を営んでいた話、このワークキャンプを受け入れたときの話など、キナシベツが歩んできた一連の流れを熱く語っていただきました。榊原さんのキナシベツに対する思いが伝わってきました。

4日目
●オオワシ・オジロワシセミナー(深澤)
動物や森の「調査」の必要性を感じてもらいたいと思い行いました。まずオオワシ・オジロワシの生態のレクチャーを行い、クイズ形式で回答しました。次にオジロワシのある調査からわかったことに対して、どれだけたくさんのことが調査からわかるかということを実感することができた。

5日目
●ナイトハイク(源関)
極寒で街頭1つない真っ暗な中、月明かりとヘッドライトを頼りに決められたコースを歩くスキーで回る、ウォークラリー形式でおこないました。各ポイントではクイズを設けました。冬ならではの動物の足跡クイズやお互いのことをたくさん話せるような質問にしたことでお互いのことについて深く知ることが出来ました。
 
6日目
●野外セミナー
キナシベツの自然を体感するために受け入れ先の榊原さんに行っていただきました。歩くスキーをはいてキナシベツ自然保護地区を一周回りました。コースは、牧場⇒湿原⇒海岸植生⇒海岸⇒原生林と様々な自然を見て歩きました。今回は、湿原の川の氷が完全に凍っていなかったため野外セミナーでは二次林には入りませんでした。夏では入れない湿原に入って、1m近くになったヤチボウズが並んでいる姿は少し怖くも感じました。また、オオワシやオジロワシが飛んでいる様子は青い空に良く似合い感動しました。
 
●野外セミナー振返り(源関)
野外セミナー終了後に、この野外セミナーで自分の印象に残ったものをみんなに発表しました。そして、今回のワークキャンプでみんなが感じたキナシベツの魅力を絵で一枚の紙に表しました。一人一人が感じるものが違い、自分の中のキナシベツを持ってもらえたと思います。

8日目
●会話セミナー(源関)
人と話すことが重要だということを知るためにおこないました。事前に、今自分が興味あることについて考えてきてもらい、それについてワークキャンプ中の空いた時間にいろいろな人と話してもらうことで、自分とは違う意見を得て、さらに自分の中で考えることを繰り返し行ってもらいました。これらの会話から自分にとってプラスになったことをみんなで話し合い、会話したことで相手から得るものが多くあることがわかりました。

9日目
●自然保護のイメージ
事前説明会に自然保護のイメージを紙に書いてもらい、ワークキャンプの最後に自然保護についてのイメージを再び質問し、自分の自然保護へのイメージがどう変わったか考えてもらった。自然保護の知識が増え自然保護に対する気持ちの変化が見られた。
【懇親会】
7日目に、トラストの家の中で行いました。
受け入れ先の榊原さんや森田さんをはじめ、キナシベツの近くに住んでいる様々な職業の方(漁師、マスコミ、パークレンジャー、ビジターセンターなど)がたくさん来ていただき、13人で懇親会を行いました。
僕たちが知らない経験談をたくさんお話していただき、12時近くまで様々な人とコミュニケーションをとることができました。
【参加者の感想】
長谷川 敬祐(帝京科学大学1年)

 このF・A・Nの活動に参加することになったきっかけは同じ大学の先輩から「学生中心のボランティアがあるんだけど参加してみない?」と言う誘いの言葉がきっかけでした。実際に野外へ出て野鳥調査などを行った経験がないのでとても興味がありました。アオサギコロニー調査では、アオサギの巣が作られている木の数、その木の胸高直径、巣の数を過去のデータをもとに調査して、自分は記録する担当でした。調査では山の中の積雪量が多くて歩くのが大変でした。記録していて倒木や巣が地上に落下しているのを見て、普段見れない巣を間近で見れました。でも巣が落ちてしまった事に少し残念な気持ちにもなりました。でも実際に調査することで同じ木でも巣が増えていることなど見えてくるものがあると思いました。また、木の胸高直径を測って木に抱きついて大きさの感覚を肌で感じることが出来ました。
 自然誌調査では、原生林ならではの種類や大きさの異なる木や原生林独特の風景が見られました。また、山中で雪の中に鹿の骨が埋まっていて、きれいな状態で保存されていたことには驚きました。ベンチ・看板作りで自分はベンチ作りの方を担当しましたが、大変だったのが半分に切ってある2つの丸太を合わせる面を平らに切り落とす作業でした。切る中で木の節の部分がなかなか切れずに苦労しました。その後は座る面をかんながけする作業で、かんながけするごとにきれいになっていくのは楽しかったです。

 最後に、自分が一番参加して良かったと思えたのは参加者メンバーや受け入れ先の方々と話せたことです。参加者メンバー同士で自由時間に「野生動物との共生」について深夜にも関わらす約2時間話し合ったり、懇親会ではキナシベツ湿原や周変を守る地域の方々と北海道の気候や環境問題について話したりすることができました。今までこんなに動物保護や環境保全について熱く話し合ったことがなく、とても貴重で良い経験をすることができました。
【全体を振返って】
片岡 勇貴(東京農業大学4年)

 今回は6人という少人数でのワークキャンプになりましたが、そのことが参加者とコーディネーターの壁を早くなくすことができたと思います。天候は昨年よりも雪が多く、スケジュールが若干変更になったこともありましたが、みんな落ち着いて行動してくれたおかげで大した怪我も起こらずに10日間過ごすことができました。
 また受け入れ先の方、懇親会にきていただいた人ともたくさんお話が出来て、自分自身について良く考えることができたワークキャンプでした。そして、キナシベツの自然(夜を含め)に没頭できた10日間でした。
 ワークキャンプの最後にはみんながキナシベツにまた来たいと言ってくれたことがとてもうれしかったです。
 そのほかにも、ワークキャンプ中には漁師の方から差しいれをしていただいたり、調査に同行していただいたり大変お世話になりました。また、受け入れ先である榊原さんや森田さんもお忙しい中僕たちと話す時間を作ってもらい本当に貴重な時間が送れました。
 学生最後のワークキャンプで今回のメンバーと一緒にワークキャンプを行うことが出来たことは自分自身にとってプラスになりました。本当に感謝しています。ありがとう!!

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