2008夏 根室WC報告
■開催地
(財)日本野鳥の会 野鳥保護区事業所(北海道根室市東梅)

■開催期間
2008年8月31日〜9月7日(7泊8日)

■参加大学
東京農業大学、麻布大学、明治学院大学、東邦大学、日本大学、北海道大学
【スケジュール】
8月31日(1日目)くもり
厚床駅集合(北海道)
宿泊場所の夢原館到着、買出し(根室市)
オリエンテーション:根室の自然について、野鳥の会について

9月1日(2日目)雨
シカ柵準備
シカ柵作り(鉄管打ち)
ネイチャーセンター見学
シマフクロウセミナー

9月2日(3日目)雨&霧
シカ柵作り(鉄管打ち、網設置)
シカ柵作り(網設置)
木登り練習(体育館)
ボランティアセミナー

9月3日(4日目)くもりのち雨
管理道路補修
ヤナギ植栽地土留め
ヤナギ苗植栽
自然保護セミナー1

9月4日(5日目)晴れ
野外セミナー
春国岱、昆布盛、納沙布岬、野鳥の会保護区
懇親会

9月5日(6日目)くもりのち晴れ
石碑周辺の掃除
ササ刈り
ミズナラ間伐
自然保護セミナー2

9月6日(7日目)晴れ
フクロウの巣箱メンテナンスと巣箱設置
ササ刈り
思いを形にするセミナー

9月7日(最終日)くもり
大掃除
全体振り返り
【作業報告】
<シカ柵作り>
以前に裸地化した場所にハンノキやミズナラなどの苗木を植樹した場所が、シカの食害にあっているためシカ柵を設置する。今回は3種類(魚網、プラスチック、鉄柵)のシカ柵を作り実験し、今後一番効率的なものを選ぶためにシカ柵を設置しました。
<管理道路補修>
保護区内にある管理用道路が雨や植生を管理するために放牧されている馬の踏み荒らしによりぬかるみ、管理車両が通ることが困難なため、砕石や土を補充し、踏み固め修復しました。
<ヤナギ苗木調査、土留め、植栽>
植生管理のため放牧されている馬による踏み荒らしより裸地化した場所に、1年前にヤナギの苗木を植栽しました。その生存状況を調べました。また、土の流出を防ぐため、雨水が流れ込む部分を土留めし、そしてさらにヤナギの苗木を植栽しました。
<石碑周辺の掃除&ササ刈り>
保護区にある石碑周辺に雑草が生えてしまっている。今後保護区ツアーを開催するために掃除しました。また道路の両脇のササを2mずつ刈り拡張しました。
<ミズナラの間伐>
シマフクロウの棲める森作りのため、ミズナラが5〜8本、萌芽している木を3本ほどにノコギリで切りました。その際にすべての木の大きさも計測しました。
<フクロウの巣箱メンテナンス&設置>
フクロウのために設置してある、巣箱の中に木屑を入れました。約5〜8メートルの木の上での作業だったので、態勢が不安定で作業が難しかったですが、事前に体育館でロープワークを練習したので安全に作業する事が出来ました。そのほかに2ヶ所の巣箱をフクロウが使用しているか調べました。今回は使用形跡は見られませんでした。
【その他の活動】
<オリエンテーション>(1日目)
受け入れ先のレンジャーから、自己紹介と根室の自然や野鳥の会について説明していただきました。

<シマフクロウセミナー>(2日目)
シマフクロウの研究をしている山本純郎さんからシマフクロウについてのレクチャーをしていただきました。山本さんが撮影したシマフクロウの写真や鳴き声を聞かせてもらい、さらにはシマフクロウの羽も見せていただきました。シマフクロウの大きさにはびっくりしました。

<ボランティアセミナー>(3日目)
「ボランティアとは?」をテーマにみんなで話し合いました。みんな考えていることが違って、自分の考えも改めて考える、いい機会になりました。

<自然保護セミナー1>(4日目)
シマフクロウの棲む場所についてみんなで意見を出し合いました。生き物が住んでいる場所には様々な場所があって、そのすべての生態系を守っていかないとシマフクロウの保護には?がらないことを学びました。

<懇親会>(5日目)
春国岱ネーチャーセンターの方を招いて懇親会を行いました。鹿肉やジンギスカンをバーベキューにしてみんなで食べました。普段お話できない人とも交流する事が出来て有意義な時間が過ごせました。

<自然保護セミナー2>(6日目)
受け入れ先の方に、野鳥の会の活動を例とし、自然保護についてお話していただきました。自然保護がどのような人たちの、どんな仕事により行なわれているかを知ることが出来ました。

<思いを形にするセミナー>(7日目)
このワークキャンプで生まれた思いを一人一人発表し合いみんなで共有しました。そこから自分に出来る自然保護とは何かを考えました。

<野外セミナー>(5日目)
根室半島を一周し、根室の自然や歴史について学びました。
【チーフコーディネーターの感想】
片岡勇貴(東京農業大学地域環境科学部造園科学科4年)

根室ワークキャンプへは初めて参加しました。さらには、今回はチーフコーディネーターという立場での参加だったので、現地へ行くまでもたくさん準備が必要で、今までとは違った感覚でとても不安でした。しかし、参加者にも恵まれ、一週間という時間はあっという間でした。現場での作業は、時折雨の強くなるなど簡単には出来ませんでしたが、みんなで協力して無事に予定していた作業を終えることができました。また、作業時間以外でも受け入れ先のレンジャーの方に自然保護についての様々な疑問を投げかける機会もたくさん設けることができ、自然保護について熱く語り合った一週間でもありました。今回の、ワークキャンプで、たくさんの出会いが生まれたと思います。1人でも多くの人がこの活動に共感してもらい、今後もこのネットワークを広げていきたいと思います。
【参加者の声】
大原みさと (東邦大学理学部生物学科2年)

私がこのWCに参加したのは、野鳥が好きだから、という理由でした。実際、北海道というだけあってWC中にはチゴハヤブサ、オジロワシ、タンチョウ等今まで見たことのない鳥をたくさん見ることができました。
しかし、私はWCでもっと大きなものを得ることができた気がします。その中の1つが話すことの楽しさ・大切さです。それまでは自分の意見がはっきりしていなくて、自分の知識の無さが露呈するのが嫌でなまぬるく生活をしていました。しかしWCでは、夜に行われるセミナーなどで自分の意見を言わなくてはなりません。最初はみんなの意見に圧倒されっぱなしでしたが、そのうち、自分の思いを言葉にすることが楽しくなって、みんなの意見も聞くことが楽しくなりました。話さなければ知ることができなかったこと、聞かなければ学べなかったこと・・・。たった8日間で学んだことがこんなにもあるのだから、これからはもっといろいろな人と話がしたいと思いました。「本を読む時間があるなら、人と会え」という言葉の意味がわかった気がしました。
また、受け入れ先の方々の現場の貴重な意見を聞くことができたのも非常に為になりました。実際に現場で働いてきた方の言葉はすごく重みがありました。うまくまとめることはできないのですが、自分でも何かできる、大きく言えば社会を変えられる、ぐらいのパワーを貰いました。
このWCは自分を一回りも二回りも成長させてくれました。そしてこれからも成長していくことができると思います。そんなきっかけを与えてくれたWCに本当に感謝しています。

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