2007夏ウトナイ湖ワークキャンプ報告

2007ウトナイWCメンバー
学生、レンジャー、ボランティア一丸となって調査に臨みます!
【開催地】

(財)日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ(北海道苫小牧市)
および弁天沼周辺
【開催期間】
2007年8月1日(水)〜8月7日(火) 6泊7日
(ただし本隊の出発は7/31発のフェリー)
【スケジュール】
<0日目>7月31日(火)
 ・本隊 上野駅出発
 ・本隊 茨城県大洗港からフェリーで出発
 ●アイスブレイク
<1日目>8月1日(水)
 ●チュウヒセミナー
 ●勇払原野セミナー
 ・本隊 苫小牧港到着
 ・買出し
 ・ネイチャーセンター到着
 ・飛行機組 ネイチャーセンター到着
 ・受け入れ先からの説明
 ・生活オリエンテーション
 ●ルール・マナーセミナー
<2日目>8月2日(木)
 ・北海道工業大学の方々との顔合わせ
 ◎チュウヒ営巣調査
 ・温泉入浴
<3日目>8月3日(金)
 ◎資料整理作業(午前)
 ◎チュウヒ営巣調査(午後)
 ・温泉入浴
 ●『語り場』
<4日目>8月4日(土)
 ◎資料整理作業
 ◎看板修繕作業
 ◎イラスト作成作業
 ・ビデオ鑑賞「ウトナイ湖がラムサール条約に登録された日」
 ○懇親会
<5日目>8月5日(日)
 ●野外セミナー
 ●野外セミナー振り返り
<6日目>8月6日(月)
 ◎やぶ払い作業
 ・ワークキャンプメンバー談話会 
<7日目>8月7日(火)
◎ネイチャーセンター大掃除
 ●全体の振り返り
 ・解散


【活動内容と成果】
<調査と作業>


(1)チュウヒの営巣調査 ・・・2日目&3日目 @弁天沼

ウトナイ湖サンクチュアリが中心となって進めている
「勇払原野保全プロジェクト」の一環として実施しました。
ウトナイ湖の南方にある「弁天沼」を鳥獣保護区に指定させるための交渉材料として、絶滅危惧種の鳥類であるチュウヒ(RDBランク:絶滅危惧TB)が繁殖している事実を確認することが目的です。
  
6月に北海道工業大学の学生とネイチャーセンターが共同で行ったチュウヒの行動圏調査の結果を元に、チュウヒが降り立ったり、繁殖期特有の「エサ渡し」行動が見られた場所などがGPSに落とされており、その場所を今回捜索しました。
手法としては、計15名で、弁天沼のヨシ原を一列横隊に足並みを揃えながら進み、足元のチュウヒの巣を探しました。

結果としては、2007年に営巣した巣の跡は見つかりませんでしたが、過去に営巣が行われたと思われる古い巣は見つかりました。
今回までの調査結果を元に、自治体・国や猟友会などの利害団体へ、鳥獣保護区指定のための交渉を続けるそうです。  


横一列になって湿原ヘ向かって一直線

(2)看板の修繕 ・・・4日目

雨天のため、チュウヒ営巣調査の代わりに実施しました。
ウトナイ湖のネイチャーセンター周辺には散策路があり、案内や解説のための看板が設置されています。
今回は、その看板が、色がはげたり、支柱が腐ったりしているため、塗りなおしをして新しい支柱に交換する作業をしました。

(3)ネイチャーセンター未整理資料の整理 ・・・3日目&4日目

雨天のため、チュウヒ営巣調査の代わりに実施しました。
過去の(財)日本野鳥の会の支部報や他団体の資料など、ネイチャーセンターが保管している過去の資料のうち、手がつけられないでいたものを整理し、ファイリングしなおす作業です。
これにより、来館者の方が資料を簡単に閲覧することができるようになりました。


膨大な資料整理も作業の一環です

(4)「ウトナイ湖最近の自然情報」用の画像づくり ・・・4日目


雨天のため、チュウヒ営巣調査の代わりに実施しました。
ネイチャーセンターでは、来館者の自然観察の手引きとして、
ウトナイ湖周辺の自然情報をプリントにして配布しています。
今回は、その「自然情報」に載せる生き物のイラストを作成しました。
アキアカネ、エゾシマリス、コゲラ、キンミズヒキなど、
動物や植物など6種類のイラストを作成しました。

(5)ネイチャーセンター前のヤブ払い ・・・6日目

ネイチャーセンターからのウトナイ湖の眺望を改善するための、2年に一度の手入れを行いました。
ネイチャーセンターの脇から作業路を切り開き、
トランシーバーでネイチャーセンターにいるチーフレンジャーからの指示を受けながら、
視界をさえぎっている樹の枝を切り落とす作業です。
夕方の日暮れ近くまで汗をかきながら作業を進め、ネイチャーセンターの展望室から湖の岸辺が見えるようになりました。

やぶ払いでは協力して高いところの木の枝を切ります

<セミナー>

夜はコーディネーターによるセミナーを開いて話し合います
*0日目

●アイスブレイク「うそつき自己紹介」
これから1週間生活をともにする仲間たちと打ち解けるためのレクリエーションです。
自己紹介の中に一個だけウソを含め、
他の人に当てさせるというゲームを行い、お互いの紹介をしあいました。
*1日目

●勇払原野セミナー
活動現場であるウトナイ湖を含む勇払原野の、自然と自然保護活動の歴史や概要について解説しました。
年表にまとめながら説明した上で、これからの勇払原野の保全のためにはどうしたらよいかを話し合いました。

●チュウヒセミナー
今回のメイン活動である「チュウヒ営巣調査」に備えて、
「チュウヒ」という生き物について知るためのセミナーです。
チュウヒは湿原にすむ猛禽(ワシやタカの仲間)で、日本では絶滅が心配される鳥類です。
チュウヒの姿かたちや暮らしなどを、イラストを描いて予想したりしながら、
巣の場所や大きさなども勉強しました
●ルール・マナーセミナー
集団生活やボランティア活動において必要なマナーやルールを参加者全員で考えました。
最終的には「マナー7か条」を模造紙に書いて、寝室前に貼り出しました。
*3日目
●『語り場』
参加者全員が5分の持ち時間で、環境や自然に関連した
自分のテーマについて自由にプレゼンを行い、
続く5分で他の参加者からの質問をうけ、回答する形式の対話です。
それぞれが自分の分野で、自然へのまなざしや環境に関する問題意識、
これまでに関わった自然保護活動の紹介、個性的な趣味まで、自由に発表しました。
参加者同士で、自分の知らない、普段考えない領域のことについての刺激的な知識・意見の交換となりました。
チュウヒの営巣調査を一緒に行った北海道工業大学の学生の皆さんとも交流を持つことができました。
*5日目
●野外セミナー
ワークキャンプの目玉でもある、受け入れ先の方による、現地を実際に見て回るセミナーです。
レンジャーの運転する車に分乗して、ウトナイや勇払の自然や開発の現場を案内していただきました。
自然としては、ウトナイ湖の水源である美々川の源流やウトナイ湖周辺の湿原、
開発現場としては、土砂取り場やごみの処分場、市街地や苫小牧東部開発地域などを見て回りました。
理屈抜きで「守らなくてはならない」と思わせる自然の美しさと、激しい自然破壊の現場との対比が非常に印象的で、参加者一同、深く考えさせられました。
案内してくださったレンジャーの皆様、本当にありがとうございました。


野外セミナーではウトナイ湖周辺の素晴らしい自然に触れました

●野外セミナー振り返り
野外セミナーを通して得たインパクトや、考えさせられたことなどを言葉にして発表しました。
そして、参加者それぞれが、最も印象的な場面を絵に描き、コメントをつけました。
こうした振り返りによって、印象がより深まり、忘れられない記憶となりました。

<イベント>


★懇親会
4日目の夜に、ネイチャーセンターのホールをお借りして開催しました。
レンジャーを含め、10名を越す現地の方々にお越しいただき、
差し入れも含め、料理があふれるばかりに豪華になり、
参加者もお客様もとても楽しむことができました。
マンドリンと笛の演奏もしていただき、終始にぎやかでした。
地元ならではの、色々な面白い話や、ためになるお話をたくさん聞くことができました。


食事は3食交代で作り、レンジャーも交えみんなで食べます

【参加者の声】


「ウトナイ湖ワークキャンプに参加して」
 石橋弘美(川村学園女子大学人間文化学部観光文化学科4年)

今回は2回目のウトナイ湖ワークキャンプということで、
ウトナイ湖の環境は一度触れていたのですが、
私自身の視点が少し変わっての参加だったので見え方も異なりました。
1度目の参加の際は、自然保護ボランティアに関わることが初めてで、
まずは「知る」ということで精一杯でした。ウトナイ湖周辺の自然環境はどのようなものなのか、問題点はどういうところなのかということを実際に目にすることで実感していったことが新鮮でした。
何も知らなかった時の考えは、恵まれた自然は当たり前のように保護されていると思っていました。
しかし、現地に行ってみて、自然環境は守らなければ壊されてしまう可能性が十分にあるといことを、目の当たりにしました。
その初めて見たもののインパクトが大きく、驚きの連続だったのですが、
今回再びウトナイ湖に行って、改めて自然のすぐ隣にある開発された工場地帯やゴルフ場を目にし、
本当に守っていかなければいけないんだということを再確認しました。
 野外セミナーでウトナイ湖の水源となる美々川源流を見たときは、
なんて綺麗なところなんだろうと思い、思わず黙って見とれてしまうほどでした。
それは初めて見たときも今回再び訪れた時も同じ気持ちでした。
いつまでもこの場所は美しい状態で残ってほしいと願わずにはいられませんでした。
また、ゴミ処理場やゴルフ場、土砂採り場などの自然環境にとってマイナスとなっている場所に行き、
自然は守っていかないと簡単に壊されてしまい、元に戻すことは不可能になってしまうという恐ろしさを身をもって感じました。
人が暮らしていくために、豊かさや便利さを求めることは大切なことだと思うけれど、人ではない動植物や美しい自然環境に目を向けことを忘れた時、もう取り返しがつかないことになってしまうと感じました。
 自然は触れ合うことで、私たち人間にも恵みを与えてくれていると思います。でも、触れないと気づけないのではないかとも思います。
 私はそのきっかけを頂くことができたので、小さな力ではありますが、少しでもできることはしたいと自然に関わる活動を続けています。今回の参加で、ウトナイ湖が私の活動の原点だったということ、その時の自然、また関わる人達の繋がりが今でも大きなものとなっていることに気づけました。
ウトナイ湖に行ったきっかけが今の私の活動を広げてくれました。今までも、そしてこれからも、その経験は大きなものになると思います。

北海道工業大学の学生の方々とも交流を持つことができました!

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