2005年夏のワークキャンプ

キナシベツ自然保護地区

チーフコーディネーター 鎌田 藍(法政大学法学部3年)

●開催地●
(社)日本ナショナルトラスト協会・キナシベツ自然保護地区
(北海道白糠郡音別町字直別)

●開催期間●
2005年8月17日(水)〜8月26日(金)9泊10日

●スケジュール●
17日(水)羽田空港出発!
      開会式・オリエンテーション
      セミナー『キナシベツ自然保護史』

18日(木)アイスブレイク
      町道沿いのバラ線貼り
      セミナー『ボランティアセミナー』

19日(金)蛇行河川の流路確保

20日(土)野外セミナー(キナシベツ満喫ツアー!)
      野外セミナー振り返り

21日(日)セミナー『合意形成セミナー』
      町道沿いのバラ線貼り
      駅前広場に立てる看板作り

22日(月)町道沿いのバラ線貼り
      海岸沿いのバラ線修理
      駅前広場に立てる看板作り
      セミナー『自然保護セミナー』

23日(火)駅前広場の整備(看板立て・草刈り)
      懇親会

24日(水)駅前広場の整備(草刈り)
      魚の遡上調査
      ナイトハイク

25日(木)駅前広場の整備(土ならし・芝貼り)
      浜辺のゴミ拾い
      ワークキャンプ振り返り

26日(金)トラストの家大掃除
      閉会式
現地解散

●活動内容・成果●

◇町道沿いのバラ線(有刺鉄線)張り
 キナシベツワークキャンプの継続事業です。キナシベツ湿原への人の侵入を防ぐため に、町道と湿原の境にバラ線を張ります。今回は100mのバラ線を貼ることを目標に作業を進めていきました。作業日は雨が降ることもあり、視界が悪く、足場も不安定という悪条件ではありましたが、誰一人けがをすることなく作業を終えました。
 終了時には120mのバラ線が貼られていて、自分たちが貼ったバラ線を車から見ると達成感でいっぱいでした☆

◇蛇行河川の流路の確保
自然再生事業のひとつです。まっすぐな現行河川と蛇行した旧河川をつなぐ部分にたまった土砂を取り除き、旧河川に流れを作ります。これは、旧河川の復元によって、生物の繁殖がみられるかデータを取るために行うものです。膝上まで水につかり、(長靴の中は泥と水です。)泥という形のない物をスコップで集めて取り除くという、根気と体力を必要とする作業でした。作業中はアブとも戦わなくてはならず、作業が終わる頃にはみんな立派なアブハンターになっていました!とても大変な作業でしたが、作業前にはなかった旧河川への水の流れを、終了時には取りもどすことができました。

◇野外セミナー
 二次林、原生林、海岸草原など、約12kmを歩き、キナシベツの自然を満喫しました!
 セミナー中は発見と感動の連続で忙しかったです。途中、道なき崖を登ったり、熊のうなり声を聞いたり‥‥ と、スリルも沢山ありましたが、キナシベツの自然を肌で感じることができ、とても濃い1日になりました。

◇駅前広場の整備
地元の人やキナシベツに訪れる旅人などに、キナシベツ湿原の存在とそのすばらしさを知ってもらう第一歩として、キナシベツ湿原と外部とをつなぐ直別駅前の整備を行いました。2005年春のキナシベツワークキャンプで作った案内看板を駅前広場に設置したり、生い茂っていた草を刈りそこに芝をはったりしました。
芝を貼りきれいになった駅前広場は、始め訪れた時とは180度変わっていて、とても居心地のよい空間になりました。

◇魚の遡上調査
 継続的に直別川で魚の遡上を調査して、河川の健康状態を調べます。今年は例年よりも多くのポイントで調査をしました。体長30cmを超えるアメマスを捕まえたときは、みんなのテンションもあがりました。ただ、長時間川の中での作業だったので、とても寒かったです。

◇ナイトハイク
榊原牧場から海岸にむかう一本道をサイレントウォークします。月明かりが映す景色はとても幻想的で、昼間とは違った自然の一面を見ることができました。このときみた月明かりと星空は忘れられないです。

☆キナシベツメンバー☆
男の子4人、女の子4人、計8人でのワークキャンプでした。作業においても生活においても、チームワーク抜群!! 10日間飽きることなどなかったです。
ベテランのゆーほさん、マイペースな仙ちゃん、頼りになるあっくん、気配り上手な森ちゃん、ムードメーカーのこーたん、癒しの山ちゃん、裏番長の泰さん。
みんなどうもありがとう☆

●参加者の声●

○「行ってよかった♪」 高橋睦(玉川大学文学部リベラルアーツ学科1年)

今回初めてボランティア活動に参加し、またキナシベツという場所も初めて行きました。このワークキャンプには、インターネットでみて応募しました。はじめはどんな人がいるのだろう?とか、キナシベツってどんなところだろう?とか不安もありました。けれど、今回のワークキャンプではじめて会った人ばかりのはずなのに、まるで前からの知り合いみたいに初日から本当に仲良く過ごせて楽しかったです。
…本当に様々な経験をしたなぁ。バラ線を張ったり、蛇行河川の流路確保のために泥を取り除いたり、駅前広場の整備をしたり。作業は初めてやることばかりで毎日が大変だったけれど、みんなで協力しあい一人一人が自分に出来ることを最大限に行うことが出来たおかげで、達成感がすごくあり気持ちよかったです!
主に夜に行われたセミナーは、いろいろな意見を言い合い、改めて考えさせてくれることもありいい経験になりました。特に野外セミナーは、一日かけてキナシベツを歩き、大自然に触れ、とてもいい景色や貴重な鳥や鹿のいた形跡、熊の冬眠した形跡などをみることができ、まさに感動の連続!!そして、なんといってもナイトハイクでみた夜空の星が最高にサイコーにきれいでした!タンチョウも初日と最終日に見ることが出来て感激しました。
地元の人たちを呼んで行う懇親会では、バーベキューをしながら昔の北海道のことや熊に遭遇した話など、いろいろ楽しい話を聞かせてもらえて、思わず時間を忘れちゃいそうになりました(笑)。
たった10日間しかいなかったけれど、都心部では決して味わうことの出来ない自然の中で本当に中身の濃い貴重な時間を過ごせて、本当に幸せでした☆☆☆

○「キナシベツワークキャンプ」 小山祐美子(明治大学農学部農学科3年)

私が今回のワークキャンプに参加するに至ったのは、もうすぐ就職活動が始まるにあたり、ふと学生生活を振り返ったことにあります。今まで生物について学んできたけれど、自分から行動を起こしたことはあったかな?そんなことを思い、この長い夏休みに何か大きな事に取り組みたいと思ったからです。
キナシベツの生活は、今までの生活と、全くといっていいほどガラッと変わりました。大自然の中、ご飯作りや洗濯など、全て自分たちで行います。よく考えたら、ほとんどの人が初対面同士。しかし、皆お互いを気遣い、協力し合えることができたワークキャンプになりました。
作業は、本当に様々な事をしました。バラ線張りは危険な作業ですが、皆ケガも無く無事終えることが出来ました。河川の流路確保の作業では、泥をひたすら取り続け、やっと水が流れるようになったときには感動しました。一番印象に残ったのは、魚の遡上調査です。直接川の中に入って魚の種類・数を調べるのですが、沢山の魚を間近で見ることが出来ました。去年はウグイしかいなかったらしいのに…川がキレイになっている証拠ですね!!
数々のセミナーが用意されているのも魅力のひとつです。合意形成セミナーや、自然保護セミナーなど、自分の意見を発表したり、まとめる能力が問われます。初めての事で戸惑うこともありましたが、皆、胸の熱い気持ちを語ってくれて、白熱したものになりました。あと、一日かけてキナシベツの自然を味わう野外セミナーもあります。これは本当に楽しかったです。自然の花畑や、山から見下ろす風景は素晴らしかったです。
そして、一緒にワークキャンプを過ごした仲間や、夢に向かって頑張り続ける源さん、普段はなかなか話すことの出来ない社会人の方々など、様々な人と出会う事が出来たのは私にとって貴重な財産になりました。

流れを作るために泥かき‥‥ 全員集合☆
野外セミナーで崖のぼり?! 遡上調査中。魚を網に追い込め!!
看板たて。 セミナー中。みんなで意見をまとめます。
芝を敷いて、完成!! 最終日。はっぴばーすでぃ☆