2003年春のワークキャンプ

キナシベツ自然保護区

チーフコーディネーター 阪上絹恵(江戸川大学4年)
(写真は、本文の下にあります)

<開催地>
      (社)日本ナショナルトラスト協会・キナシベツ自然保護地区
        (北海道白糠郡音別町字直別)

<開催期間・スケジュール>
      2003年2月17日(月)〜2月26日(水)

  2月17日(月) 
      現地に到着、開会式、オリエンテーション
      セミナー『キナシベツの自然保護の歴史』
    18日(火)
      看板作り
      コミュニケーションワーク
    19日(水) 
      アオサギコロニー調査、餅つき
    20日(木) 
      看板作り
      セミナー『合意形成』
    21日(金) 
      看板作り
      野外セミナー事前解説
    22日(土)
      野外セミナー
      懇親会
    23日(日) 
      オジロワシ・オオワシ生息調査
      看板作り
      野外セミナー振り返り・お茶会(ワークキャンプと自然保護について)
    24日(月) 
      看板作り
      ナイトハイク
    25日(火)
      看板作り
      ワークキャンプ振り返り、打ち上げ
    26日(水) 
      看板作り
      大掃除、閉会式

<活動内容・成果>

●看板作り
 今回のメイン作業として、大きな看板を5枚製作しました。内容は、@「キナシベツ大好き」とうたった看板、A日本ナショナル・トラスト協会の看板、B自然海岸への車での立ち入り制限を訴えるもの、C草花の摘み取り制限を訴えるもの、DF.Aネットワークの10年間の軌跡を記した看板です。
 それぞれ、アイディアを出して、書き上げるまでなかなか時間を費やしましたが、看板を作る意義などを考えるきっかけにもなりました。みんな、ペンキまみれになりながらがんばりました。
 今度のワークキャンプでは、看板の設置をするそうです。私たちが、作った看板が設置されるのは、楽しみです。

●アオサギコロニー調査
 かんじきを履いて出発!!

 今回で5回目となる調査です。カラマツにあるアオサギの巣を数えました。78個の巣を確認することができました。ちなみに去年は、87個だったので減少していました。来年は、どうなっているでしょうか?

●オオワシ・オジロワシ生息調査
 今回はじめて、F.Aネットワークが関わって調査を行いました。オオワシ・オジロワシの数を双眼鏡を使って、数箇所で数えるという調査です。オオワシ・オジロワシが鉛中毒の影響を受けることが多く、生息数が減少しているそうです。

 環境省の職員さんも個人的に協力してくださいました。キャンプの参加者の中に、鳥を見つけることにすぐれているメンバーの指導のもと、オオワシ・オジロワシを発見するためにみんな真剣に双眼鏡をのぞいていました。普段、鳥を意識していなかったメンバーも黒い影を発見するたびに歓声をあげていました。

●野外セミナー キナシベツをクロスカントリーを使って、1日かけてまわりました。

 湿原の上や川、二次林の丘に上がり、原生林を通ってと、夏場では入ることの出来ないところを歩きました。自然のすごさに思わず、「おじゃまします」と自然に敬意を払う気持ちになったメンバーもいました。

それほど、普段感じることの出来ない自然を満喫したということでしょうか。

<参加者の声>

津田塾大学 学芸学部 国際関係学科 小林弥佳

心と体をフル回転させた、とーっても濃密な日々。
大学の専攻も様々、各々素晴らしい個性を持ったメンバーと、受け入れ人である楽しくて優しい源さんに囲まれて過ごした十日間。一緒に語り、考え、汗を流し、笑い転げて。新しい出会いを通じて私は様々なきっかけを得たように思います。

'熱狂的なファンになる人が最も多い場所'参加のきっかけはワークキャンプ紹介のこの言葉。
初めはほんとかなーなんて訝り半分だったけど、どうやらすっかりその魅力にはまったみたい。実家が東京の私に、故郷ができた感じです。会えば心がホッとする、あったかーい人たちがいて、日の光や気温によって実に様々な表情をみせる美しい風景がある。

私にとってのキナシベツ・ザ・ベスト(心に残る風景!)は、野外セミナーで冬、雪が積もった時にしか入ることのできない湿原の風景。湿原の中はまるで世界が違う。神聖というか脅威というか。人間の世界と流れる時間が違うような・・(ファンタジー??)でも、ほんと。是非実際に行って感じて欲しいです、日本にはこんなに美しい場所があるってこと。

ではそれを知った私は何ができるだろう。今の一番の関心事。
どうやってこの美しさを維持し後世に伝えていくのか。難しいけど取り組む価値のあることだと思っています。



江戸川大学 社会学部 環境情報学科 小澤章子

今回私がこのワークキャンプに参加した目的のいくつかを挙げてみると
@北海道の大自然を満喫すること
A人に会うこと・話をすること
Bボランティア活動を通して環境についての知識を少しでも深めることなどです。

@の目標はもちろん大満足で達成させていただくことができました。あれだけの白銀の世界を始めて体験し、北海道の冬の厳しさを肌で感じ取ることができました。特に野外セミナーでは自分もあの雄大な自然の一部に少し溶け込めた気がしてとても気持ちが良かったです。

Aの目標についてもかなり満足のいくものになりました。今回キャンプに参加した皆を始め、懇親会では地元でさまざまな活動をなさっている方々にお会いし、興味深い話を聞かせていただくことができました。自然保護を行なううえで地元の方と協力し合っていくということの大切さを実感させられた一日にもなりました。また、夜のセミナーではそれぞれの意見や考え方を語り合い、さまざまな価値観に触れ、自分の中でとても良い刺激になったと感じています。

最後にBについて。これはどこまでいってもこれで十分ということはないと思うのですが、今回いろいろな発見や体験を通して少しでも深めることができなのではないかと思っています。


今回初めてワークキャンプに参加させていただき、本当にたくさんのことを経験し、また学ぶことができました。野外セミナーやもちつきなど楽しかったこともありますが、ただ楽しいだけではなくセミナーやお茶会(話し合い)では考えさせられる部分、また今回のメインイベントともいうべき看板作りなど大変だった部分も多々あります。そういったさまざまな面を持っているからこそ次回につながるし、またそこがWCの魅力だと思います。今後、今回経験したこと、学んだことをさまざまなことに生かしていけたらと思っています。


<はみだし>
・Mさんは、ワークキャンプの前日が誕生日。ウトナイ湖ワークキャンプから、キナシベツへの連続参加で遅れて合流。みんなから、雪の中に投げ入れられるという手荒い(?)祝福を受けました。

・榊原さんのお母さんに、牛乳豆腐を作っていただきました。I君は、とても印象的だったらしく、「家でも作る」と宣言していました。

・Fコンは、食事当番の時に、7倍に薄めて使う酢をそのまま薄めないで酢の物を作った。「薄めたほうがいい」という指摘をうけて水を入れたが、すっぱいまま食卓にあげた。メンバーは、むせ返りながらもなんとか食べていた。キャンプ中、唯一の失敗だったらしい。

しかし、本人はいまだに反省していないとか・・・。

キナシベツのオーナー榊原さんから、
活動の説明を受ける!
一つ目の活動は、アオサギのコロニー調査。
アオサギは、木の上に集団で巣を作る。
これがコロニー!
風などで、落ちた巣。
もうひとつの作業は、看板作り!
材木を切るところからスタート!
看板の形が出来上がった!
素人にしては、なかなかの出来!
キナシベツの保全をうったえる看板が出来上がり
つつある。自分たちの気持ちを綴った看板でもある。
野外セミナーの様子! 歩くスキーでキナシベツ自然
保護区を歩く。
「楽しすぎるー!」