2003年夏のワークキャンプ

ウトナイ湖サンクチュアリ

チーフコーディネーター 岩崎慎平(千葉大学3年)
(写真は一番下にあります!)

<開催地> (財)日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ(北海道苫小牧市)

<開催期間> 2003年9月5日(金)〜13日(土)

<活動内容・成果>

【メイン作業 〜低木管理作業〜】

 今回メインとなった作業は、ネイチャーセンター前の低木管理でした。ウトナイ湖周辺では、ここ数年乾燥地化が進み、湿地、草原環境が林の環境になりつつあり、それに伴い生態系にも大きな影響を及ぼしています。そこで、ネイチャーセンター前の視界確保および草原環境を試験的に作り出すために、木の枝はらいをしました。伐採前は、ネイチャーセンター内の1階から眺めても木々が湖の景色をほぼ塞いでいる状況でした。そこで伐採作業を取り組んだ結果、1階からでも目を凝らさず眺めることが出来るようになりました。来年伐採跡地がどのような状態になるのか、目が離せません。

【野外セミナー】

 1日をかけて、ウトナイ湖を取り巻く自然やウトナイ湖と周りの自然とのつながりなどをレンジャーさんの案内してくださる中、弁天沼周辺を中心に見て回りました。湿地、草原、樹林帯など多様な自然をじかに体験するとともに、勇払原野保全プロジェクトの現状および進展を肌で感じ取ることができました。

野外セミナーに行く前に、野外セミナーをより理解してもらうために、事前に勉強会を行い、よりウトナイ湖を取り巻く環境を学びました。

【今回の日程スケジュール】

8月4日(木) 大洗フェリーターミナル18時30分発
  5日(金)   フェリー内で献立表作成
        苫小牧フェリーターミナル13時15分着
        ウトナイ湖サンクチュアリでWC全体のオリエンテーション
        夜)懇親会
  6日(土)  午前:ウトナイ湖周辺探索
        午後:鳥獣保護センター見学、野生傷病鳥獣保護・救護見学
        夜)事前勉強会(担当 葉山レンジャー)
  7日(日)  野外セミナー(担当 葉山レンジャー)
        夜)  自然保護シミュレーションセミナー (担当 原)
  8日(月)  ネイチャーセンター前の伐採作業(1日目)
        夜)ボランティアセミナー (担当 岩崎)
  9日(火)  ネイチャーセンター前の伐採作業(2日目)
        夜)合意形成セミナー (担当 岩崎)
  10日(水) 雨のため作業中止
        夜)ナイトハイク (担当 原)
  11日(木) ネイチャーセンター前の伐採作業および片付け(4日目)
        夜)  伐採セミナー (担当 村上)
  12日(金) 午前:ネイチャーセンター前の伐採作業(5日目)
        午後:水草観察
        夜)  打ち上げ
  13日(土) 大掃除・荷物整理した後にWC振り返り
        昼あたりに終了・解散

<参加者の声>

★平林 健太(ひらばやしけんた・千葉大学3年)

 私は今回のワークキャンプが初参加だったので、はたしてみんなとうまく作業をできるのだろうかと少し不安もあったのですが、終始なんら問題なく参加することができました。メンバーのほとんどが初対面だったのですが、ワークキャンプが終わるころには「そういえばつい最近知り合ったのだっけ?」と思うほどでした。

 みんなで作業をし、ご飯を作り、夜にはセミナーをやって、時にはお酒も飲んでと毎日の生活すべてがイベントです。夜のセミナーではメンバーの環境やボランティアに対する意識の高さに驚き、とても良い刺激を受けました。また野外セミナーではウトナイ湖の自然は周囲の開発から生き残った本当に貴重なものなのだと実感できます。伐採作業では結構キツイものではありましたが、おかげでウトナイ湖の自然を文字どおりカラダで体験することができました。

 もちろん知り合えたのはメンバーだけではありません。ウトナイ湖のエキスパートであるレンジャーさんや実に楽しいインターン・レンジャー、優しいボランティアや研究生の皆さん、他団体の人々などなどたくさんの人々に出会え、そして本当によくしてもらえました。自然についてはもちろん、時には進路について話し、時には大爆笑の雑談をと実に様々な話をしました。

 ワークキャンプの魅力はもちろん北海道の自然にじかに触れ合えたことですが、それと同じくらい人との出会いも貴重なものだと思います。


★青木 香代子(あおきかよこ・明治大学3年)

 今回の主な作業は伐採でした。メンバー各自がのこぎりを持ち、草をかき分けながら一本一本切っていきました。作業が進展するにつれ、自然と役割分担が生まれ、各自それを意識しながら作業できました。そのおかげで、雨で作業が出来ない日があったにも関わらず、ノルマを達成することができ、充実感でいっぱいです。

 ワークキャンプ期間中は時間に余裕があり、周辺の自然を多く観察できたこともあって、鳥や植物についての知識が増えました。個人的には、胴長を着て湖の水草を観察したこと、ネイチャーセンターに現れるリスを毎日見られたことが特に良かったです。夜はセミナーの後、毎晩飲み語り、恋愛トークに花を咲かせ、時には踊ったりするなど非常に楽しかったです。レンジャー、インターン・レンジャー、ボランティアの方々は皆さん大変面白く、そして知識が豊富で感心しました。

 そんな素敵な方々とメンバーに支えられ、楽しく生活することができ、大変良い思い出です。本当にありがとうございました。


<はみ出しとキャンプ中の皆の様子>

「貞子?」 
 ワークキャンプの後半あたりに、夜突然怪しい声がネイチャーセンターから響き渡った。振り向いて見るとA氏であった。寝そべっていると思ったら、ゆっくりと立ち上がろうとしている。その動きはまるで生まれたばかりのコジカ!だが妙に気持ち悪い動作で、ゆっくりと我々に差し迫ってくる。みんなからは「キモイ」と連呼されている中、なおも突進して近づいていく。この不気味な動きはいつの間にか夜の定番になってしまっていた。

「掛け声!」
 作業を始める前など、みんなの士気を高めようと、チーフは思い切って掛け声を言った。最初からみんなが元気にその掛け声に応えてくれていればよかったのだが、その時誰もが唖然としていて失敗でした、終わってみればその掛け声に応えないことが「善」になってしまっていた。むしろ、チーフに掛け声を言ってと要求されるはものの、反応が全く返ってこない有様だ!「暗黙の了解」というのは怖いものです・・・

「リス」
 誰かがリスと遭遇するとみんなリスのところに一目散に寄ってくる。このあたりで見られるリスは、シマリスとエゾリスだ。特にシマリスの出現率は高く、ネイチャーセンター前のえさ台に近づいてきたら、みんなの目線がリスに釘付けであった。えさを食べている時の頬が膨らんでいるところの毛がいいなどなど、人それぞれいろんなフェチがあることに気付かされました。


野外セミナーの様子。葉山レンジャーに弁天沼周辺の自然・地形・
場所をみんな真剣に教わっています。
ナイトハイクをしている様子。昼とはまったく違ったウトナイ湖を感じる
ことができました。みんなの目線が向いているすぐ近くがウトナイ湖。
神秘的ですね。

ウトナイ湖周辺探索をしているときに撮った集合写真。その日は
きれいな青空で、ウトナイ湖がまるで鏡のようにきれいに青空を
映しだしていました。オオハクチョウの幼鳥も発見できました。

採を始めたばかりの様子。このあたりはエゾノコリンゴという
樹木がたくさん繁茂していて、ナタやのこぎりを利用しても、なか
なか切れない。でもみんな必死に頑張っています!
だんだんと伐採が進んできました。さて、どのくらい木を伐採
したのでしょうか?みんな何かに取り憑かれたかのように、
夢中です。
伐採終了〜。と思ってガッツポーズ!
でもまたウトナイ湖がネイチャーセンターから見えにくかったので、
さらに伐採しました。また伐採した大量の枝は違う場所に移動さ
せて、片付けたのでした。
水草観察の様子。特別にウトナイ湖の中に入らせていただき、色々
な水草を探しました。水中に葉っぱみたいなものが見えるは、ヒシと
いう水生植物。美味でした。ヒシクイのヒシは、ヒシを好んで食べると
いう由来から来たそうだ。
打ち上げのときに撮った全体集合写真。たくさんの人に集まって
いただきました。みんなとの出会いに乾杯!