2002年夏のワークキャンプ

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ

チーフコーディネーター 新井雄喜(早稲田大学3年)
(ワークキャンプの写真は一番下にあります。ご覧下さい!)

<開催地>
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ(北海道阿寒郡鶴居村字中雪裡南)
<開催期間>
2002年8月30日〜9月5日
鶴居ワークキャンプ中の主な活動
@植生調査
近年、釧路湿原が開発により乾燥化しつつあり、ハンノキというもともと湿原には生えていなかった木が生息地を拡大しています。タンチョウはこのハンノキの多い湿原では子育てをしません。そこで鶴居サンクチュアリでは、これらのハンノキを伐採することで湿原環境を復元し、タンチョウの繁殖地を拡張しようとしています。今回のワークキャンプでは、ハンノキ伐採後の植生がどう変化しているかを調査するお手伝いをしました。
Aネイチャーセンターの看板製作&整備
ネイチャーセンターにもっと多くの人達に足を運んでもらうため、周辺の看板をより目立つ場所に移動したり、古くなった看板を補修したり、みんなでアイディアを出し合って新しい看板を製作したりしました。
B地元の方々との懇親会
鶴居村近辺に暮らす環境省のレンジャー、ビジターセンターの職員、地元農家の方々と、ワークキャンプに参加した学生のメンバーとの間で懇親会が行われました。実際に自然保護活動にかかわっている社会人の方々から多くの貴重な話を聞くことができました。
Cセミナー
昼間は作業で汗を流し、夜はみんなでセミナー(勉強会)を行いました。今回のセミナーでは、自然保護のために必要な能力とは何か、またそもそも「自然保護」とは何なのか、などのテーマのもとで話し合いが行われました。
鶴居ワークキャンプのスケジュール>
8月30日(金)
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ到着、原田レンジャー・音成レンジャーによるオリエンテーション(タンチョウについて、サンクチュアリの活動紹介、植生調査の説明など)、アイスブレイク(参加者の緊張感をほぐすためのゲーム等)
8月31日(土)
植生調査、一日の振り返り、合意形成セミナー
9月1日(日)
植生調査、新看板製作のためのアイディア出し・打ち合わせ、一日の振り返り
9月2日(月)
看板製作&整備、ザリガニ釣り(外来種駆除のため)、一日の振り返り、懇親会
9月3日(火)
看板製作&整備、一日の振り返り、自然保護セミナー

9月4日(水)
原田レンジャー・音成レンジャーによる釧路湿原野外セミナー、野外セミナー振り返り、打ち上げ
9月5日(木)
ファームイン(宿泊施設)・ネイチャーセンターの大掃除、全体の振り返り、メッセージカード交換、解散


参加者の声

◆村上友和(むらかみともかず・東京農業大学農学部畜産学科1年)
 自然保護の現場でしか体験できないことを経験、実感する。これがワークキャンプに参加する目的でした。はじめて参加した今回のワークキャンプはその希望を十分にかなえてくれるものでした。
 胴長靴をはき、薮をかきわけての植生調査では、タンチョウが主に生息する湿原を実感し、自分の湿原のイメージとのギャップに驚きました。幸運にも作業中にタンチョウの親子が僕たちの頭の上を旋回する姿が見られ、その光景は今も忘れることはできません。地元の方々との懇親会では、現地の方や環境省のレンジャーの方と話すことができ、たくさんの刺激を受けました。野生動物保護に対する気持ちがより強くなったように思います。そして何よりワークキャンプ最終日の野外セミナーが一番印象に残りました。レンジャーの原田さん、音成さんに湿原と周辺を案内していただきました。湿原が抱える問題、タンチョウの現状などを説明していただき、自然保護を進める上で、自然と人との関係だけでなく、人と人との関係も重要だと実感しました。
 参加してみて、十人近くの学生で活動できることもこのワークキャンプの魅力だと思いました。はじめはぎこちないメンバーでしたが、日が経つにつれて仲良くなり、最終日に解散するのが惜しいくらいでした。メンバーからかなりの刺激を受け、ほんとに濃い一週間でした。
◆藤沼さやか(ふじぬまさやか・東洋大学生命科学部生命科学科1年)
 今回が初のワークキャンプ。大学生になったら何かに挑戦しようと考えていた時に友人から紹介されたので参加しました。特に何も考えずに参加してしまいましたが、この経験は、奥が深くて、自分を成長させてくれたと思います。
 目の前に広がる雄大な大地、車内から見えたシカやタンチョウ、夜になると輝きだす星たちなど初めて見る北海道の自然はとても美しかったです。一番印象に残ったのは、野外セミナーで見た釧路湿原に沈む夕日です。その中で、初日のオリエンテーションでの「タンチョウと環境と人間の距離」という言葉がずっと頭から離れませんでした。この自然を残すには、共存するためには、これらが近すぎず、離れすぎず、ある程度の距離が重要なのかというのが7日間で少しわかった気がしました。これからもこのことは、じっくり考えたいと思います。
 また、多くの人々との出会いも貴重な経験です。一緒に過ごした仲間。一人一人の意見は私の視野を広げてくれました。そして、日々の生活でのあのすばらしいチームワークは忘れません。ありがとう。
 原田さん、音成さん、鶴居で私たちを支えてくださった方々、心より感謝します。
<はみだしハプニング集 〜鶴居のゆかいな仲間たち〜>
今回のワークキャンプに参加した愉快なメンバー9名をご紹介します!(名前はすべてあだ名です。)
‐ファルコン;「赤福」(あんこ付きのお餅)が大好き。氷川きよしも大好き。「ズンどこズンどこ、キ・ヨ・シ!」を連発。
‐パン子;「パンが好き」「パー子に似ている」「携帯の待機画面がアンパンマン」などの理由から、「パン子」と命名される。ペンキがついたら汚れるといって、靴にビニールを巻く。
‐はじめちゃん;夜が強い男。
‐しぶちん;田中邦衛のものまねが好き。一度、「ほたる」といおうと試みたが、「ホテル」といってしまった。
‐なおぴー;穴にもぐろうとしていた。
‐ぬま:彼女の描く絵はすばらしく、「ぬま風」として愛された。ただし非常によくこける。
‐げんさん;しょうゆ油用の容器に、赤ワインを入れた。翌日、ファルコンはそれを刺身にかけた。
‐ともか;ワークキャンプの初日、はりきり過ぎたあまり、午前3時に起床、朝6時に羽田空港まで来てしまった。
‐アユ;「ワークキャンプ最終日に皆で浴衣を着て花火をしよう」と皆に提案。しかし浴衣を持参したのは彼一人だったため、一人さみしく浴衣を着る。

<ワークキャンプの写真>

胴長をはいて、さあ植生調査へ出発だ!! 植生調査の作業風景
みんなで力を合わせて、大看板の移動に成功! 皆のアイディアを集結させた新看板もついに完成!
夜のセミナーの風景。「自然保護」って何だろう? 野外セミナーでは、レンジャーの原田さん、音成さんが釧路湿原を案内してくださいます。
野外セミナー最終ポイント、細岡展望台にて。もう、ワークキャンプも終わりかぁ。 雄大な釧路湿原に沈む夕日。この景色が、いつまでも見られるように...