2002年夏のワークキャンプ
チーフコーディネーター 山崎麻里(東京大学3年)
(ワークキャンプの写真は一番下にあります。ご覧下さい!)
<開催地>
(社)日本ナショナルトラスト協会・キナシベツ自然保護地区
(北海道白糠郡音別町直別)
<開催期間・スケジュール>
2002年8月25日(日)〜9月1日(日)
8月25日=現地へ移動、開会式、オリエンテーション
セミナー「キナシベツ自然保護史」
26日=チームワークゲーム
作業(町道沿いのバラセン張り)
ナイトハイク
27日=チームワークゲーム
作業(浜のバラセン交換、ゴミ拾い、ベンチ作り、車止め設置)
セミナー「合意形成」
28日=作業(ゴミ拾い)、魚釣り
セミナー「のんびり丘陵の開発大作戦」
29日=十勝海岸道立自然公園設置予定地視察
セミナー「キナシベツオーナー大作戦」
30日=野外セミナー(キナシベツを探検!)
懇親会(地元の方とジンギスカンパーティー)
31日=作業(浜の車止め設置)、魚の遡上調査
ワークキャンプ振り返り
9月1日=大掃除、閉会式
<活動内容・成果>
今回のワークキャンプでは、@現地管理人、榊原さんのお手伝いをしてキナシベツの自然を守る、Aキナシベツで感動する、の2つを目的に活動してきました。たくさんの活動をしてきたのですが、主なものを紹介します。
●バラセン張り
今回のメイン作業として、湿原や自然海岸の砂浜に人や車が侵入するのを防ぐため、バラセン(有刺鉄線)を設置しました。結構な重労働でしたが、抜群のチームワークを発揮し、予定よりも早く作業をこなすことができました。最初は緊張した顔で作業していた人も、終わる頃には熟練した手つきでペンチや金鎚を扱っていました。毎年のワークキャンプでバラセン張りが受け継がれているので、全て張り終わるのが楽しみです。
●ゴミ拾い
キナシベツ自然保護区の東端の浜などでゴミ拾いをしました。1日掛けて拾ったゴミは、大きなトラック一杯分!タイヤや自転車など大きなゴミからお弁当の容器、海の向こうからの漂着物まで実に様々なものが捨ててありました。拾い終えた後の浜はピカピカで、喜んでいるように見えました。今年から、ワークキャンプで毎回続けていきたいそうです。
●車止め作り&ベンチ作り
砂浜に車止めのポールを設置したり、キナシベツの海岸や夕日を見やすい位置にベンチを作ったりもしました。ベンチ作りでは、チェンソーを使わせてもらい、皆大満足!?作業の後に小高い丘から見た夕日は最高に綺麗でした。
●野外セミナー
丸一日掛けてキナシベツ自然保護区を一周しました。二次林の中を歩いて戦時中の遺物を見て、丘の上から湿原を見下ろし、ハマナスやコケモモの実を食べ、川を渡って砂浜を裸足で歩き、崖を登って原生林を探検して、河原を歩いて・・・。メンバー全員、キナシベツの自然を味わい尽くして満足な1日でした。コンパクトな中に多様で豊かな自然が詰まっているキナシベツ。皆、その魅力のとりこになったようです。
<参加者の様子>
北は青森、南は熊本から集まった11人。初対面の人が多かったのですが、明るく個性的なメンバーで、すぐに打ち解けました。一軒家での自炊共同生活にもすぐに慣れ、まるで家族のようでした。食事の準備や片付け、掃除なども協力して行い、作業にもチームワークの良さが発揮されました。お互いに面白いニックネームがつき、笑い声が絶えませんでした。真剣に将来のことを考えている人ばかりで、深い話もしていました。夜遅くまで(ほとんど朝方まで)起きて話しこんでいる人もいたようです。 セミナーでは、積極的に発言したり、グループで熱心に話し合っていました。現在でも、東京で集まったり、連絡を取ったり、ボランティア活動に参加したりと、一週間の生活で深めた絆は続いています。
<参加者の声>
★初田茂樹(はつたしげき・東京理科大学3年)
僕は、このキナシベツのワークキャンプは初参加だったけれど、想像していた以上に多くのものを得ることができた。それは、あのキナシベツという湿原、海、原生林、高山植物などが凝縮された、自然の宝庫の中での景色、におい、感触であり、ほかの仲間との交流であり、地主さん{榊原さん}の熱い心である。そのどれもが思い出深く、何日たっても忘れることができない。1週間そこで暮らしたけど、毎日が驚きの連続で榊原さんの「守るべき価値がある」というのを身にしみて感じたし、同時に自然保護の大切さも学ぶことができた。そんな中僕が一番印象に残った景色をあげてみたい。
それは、夜に行ったナイトハイクだ。これは、僕らが滞在したところから徒歩で展望台のあるところまで行き、星空を眺めるどこでも出来そうなものなのだが、この場所では、周りには展望台だけでほかは草むらでなにもなく聞こえる音といえば海の音だけなのだ。そこの草むらに寝そべり、星空を見上げると自分がまるで別世界にいるように思え、このまま宇宙に吸い込まれてもいい・・・そんな神秘的な気分になってそれを見ながら光、月、宇宙、地球などに思いをはせながら一人でにやついていた。こんな気分は東京なんかでは絶対味わえないし、プラネタリウムとも自然の音が入っている分ダイナミックさが違うのだ。ここは、理系の人にぜひ 来てもらいたい。なぜなら、理系の人が学問の上で相手をするのは自然であり、目や耳を使い実際に自然の語りかけを聞くことはきわめて大切だと思うからだ。
このように、夜は自然と話すことができ、昼は自然と触れ合うことができて、本当にすばらしい場所だと思う。実際にくるとそれは実感できると思う。キナシベツの自然に限らず、すばらしい景色のところはたくさんあり、そのほとんどでは環境保護の熱は高まっていると思うのだけどもあまり知られていないところの環境保護はきわめて大変で、実際キナシベツもそうなのだが、そういう場所こそ人間の手がつけられていないだけに大切なのだと教えられた。
僕もこれから先、環境系の道に進むかわからないけど、常に環境保全のことを頭に入れつつ将来に活かしたい。
★和気尚美(わけなおみ・東洋大学1年)
大学生の長い夏休みに何か少しでも自分が成長できる事をやりたいなぁと思い、今回このワークキャンプに初めて参加しました。 今回のワークキャンプでは、バラセン張り・車止めやベンチ作り・海岸のごみ拾い・魚の遡上調査などをやりました。
一番印象に残っている作業は魚の遡上調査です。つなぎのまま冷たーい川にドボンと飛び込み、網を張って、どの位の大きさのどんな魚がいるのか調べました。私にとって、川の水の冷たさや捕まえた魚のヌルヌルとした感じなど、全てが新鮮に感じられ、とても面白かったです。
キナシベツの雄大な自然からは、「自然の恩恵」というものを強く感じさせられました。特に、キナシベツ海岸にある岬から夕日を見た時、「この景観は絶対になくしてはいけない。この自然を守りたい!!」と心から思いました。現代人は、自分たちの効用を最大化させる事ばかりをもとめすぎて、本当に大事なモノ・守るべきモノを見失っている…そんな事をキナシベツの自然は教えてくれました。
そして、ワークキャンプを通してのいろいろな人との出会いも私の大事な思い出です。現地管理人の榊原さん、一緒に活動したメンバー、音別の住民の方々…全ての人達から私は良い意味でたくさん影響を受けました。
私がこのワークキャンプから学んだ事は本当に多大であり、私の視野を広げてくれました。ここで学んだ事を忘れず、これから日々の生活を送っていきたいなぁと思います。全ての人、物、事との出会いに感謝します!キナシベツ大好きだぁ〜!!
<ハプニング・はみだし>
・榊原さんが全員分の釣り竿を揃えて下さり、作業後に魚釣りに。ミミズを餌にたくさんのウグイを釣りました。たくさん釣れる人も、あまり釣れない人も・・・魚釣りにはセンスが必要なようです。
・早く作業が進んで1日余ったので、十勝海岸道立自然公園予定地に視察に連れて行っていただきました。襟裳岬までドライブして景勝地を見て。。。まるで観光?しっかり視察してきましたよ。
・早起きできた人たちで、近所の牧場経営者の伊藤さんのところへ遊びに行きました。搾乳の様子や馬を見せていただいたり、どさんこに乗せていただいたり・・・帰りには絞りたての牛乳まで頂いて大満足?
<ワークキャンプの写真>
横浜で行なわれた事前説明会の様子 | トラックに乗って、いざ出陣! |
湿原への立ち入りを制限するためのバラ線張りの風景 | みんなでお弁当!! |
夜のセミナー風景。 「皆さん、思い出の他に何かを持って帰って!」 |
ナイトハイクの様子! みんなで宇宙(そら)を見よう! |
みんな、お疲れ様!また会いましょう! |